コロナは太陽自身よりも100万倍くらいうす暗く、日食の時にしか目にうつることができません。日食の時には、コロナは銀色の後光のように見えます。
私たちはすでに宇宙のいろんなことを知っているので、大きな謎(なぞ)がまだ残っているとは信じられないかもしれません。でも、あるのです!天文学でわかっていない、いちばん大きな謎のひとつが、私たちのすぐ近くの太陽にあるのです。
地球のことを「大きな岩の球」といえないように、太陽のことを「大きな火の球」とはいえません。地球の表面に山々があってごつごつしているように、太陽の表面にも、おもしろい構造があちこちで見られるからです。そして、地球のように太陽にも大気があり、その一番外側をコロナといいます。
太陽のコロナに、天文学最大の謎のひとつがあります。どんな謎なのかを理解するために、氷のかたまりのまわりに炎がとりまいているようすを想像してみてください。同じようなことが、太陽で起こっているのです!
太陽の中心部では核融合反応(かくゆうごうはんのう)が起こり、1500万度という高温になっています。その熱が太陽の表面まで届いた時には、6000度にまで温度が下がっています。しかし、その外にあるコロナの温度はまた熱くなって100万度以上になっています。
なぜコロナが太陽の表面にくらべてものすごく熱くなっているのか、70年以上にわたって天文学者を悩ませ続けてきました。しかしついに、この謎を解く手がかりが見つかったのです。
太陽には磁場があることが知られています。地球や、あなたの家の冷蔵庫に貼られたマグネットに磁場があるのとにています。そしてこの磁場が、コロナの謎を解くための鍵をにぎっているのです。ところが、磁場がどのようにコロナを加熱しているのかは、たいへん難しい問題です。もし解けたら100万ドル(1億円)の賞金をもらってもいいくらいでしょう。
この難問の答えは、「波」かもしれません。天文学者は最近、日本とアメリカの太陽観測衛星を使って太陽の磁場の中を伝わる波をたくさん観測しました。どうやらこの波が、コロナにエネルギーを加えているようです。ちょうどよいタイミングでブランコを押すと、もっと高く上がれるのと同じように、磁場の中の波のエネルギーが、コロナの熱エネルギーに変わっているようです。
コロナは太陽自身よりも100万倍くらいうす暗く、日食の時にしか目にうつることができません。日食の時には、コロナは銀色の後光のように見えます。
この記事は、日本の国立天文台からの報道発表によっています。