スペインのおどり子、宇宙でバレエ
2022年2月23日

天文学者たちは「スペインのおどり子」というニックネームをもつNGC 1566銀河のすばらしい姿をとらえました。そう大なうずまき銀河の二本のうでが銀河の中心のまわりを取り巻いているようすは、まるで両うでをのばしたバレエダンサーがステージの上ではなく宇宙の大空間でおどっているようです。

南米チリのセロトロロ汎米(はんべい)天文台にあるダークエネルギーカメラを使い、天文学者たちのチームが地球から7千万光年ほどはなれたかじき座にある、このうずまき銀河の中心を調べることに成功しました。かじき座銀河群と呼ばれる50個ほどの銀河の中で、この銀河は最も明るいものです。銀河群とは50個くらいまでの銀河がおたがいの引力によってゆるーく引きつけあってまとまったもののことです。

銀河の集団、そして銀河の中にあるいろいろな年れいの恒星(こうせい)やブラックホールについてもっとくわしく知ろうと思うなら、「スペインのおどり子」銀河を調べることです。この銀河はさまざまな年れいの恒星と超巨大(ちょうきょだい)ブラックホールをもっていて、たとえばどんなふうに恒星が年をとっていくのを調べるのにぴったりなのです。

この画像では銀河のうでの外側に明るい青色の光が見えます。この青い色は若くてとても明るい恒星から出ています。うでの中に暗い部分も見えますね。ちりがたくさん集まっているところです。NGC 1566のうでにはガスが豊富にあるので、赤ちゃん星のゆりかごになっています。銀河の中心付近には赤い色をした古くて冷たい恒星と大量のちりが見えます。

この写真はダークエネルギー研究調査のためにさつえいされたもので、たくさんの銀河の位置を調べて地図を作り、宇宙の大部分をしめるダークエネルギーという物質の正体をつきとめるのが目的です。この任務はとても複雑で規模も大きく、400人の科学者と7か国26か所の研究所が関わっています。

画像提供:米国科学財団の国立光赤外線天文学研究所(NSF/NOIRLab)

画像処理:T.A. Rector (アラスカ・アンカレッジ大学/米国科学財団の国立光赤外線天文学研究所NSF’s NOIRLab), J. Miller (ジェミニ天文台/米国科学財団の国立光赤外線天文学研究所NSF’s NOIRLab), M. Zamani & D. de Martin (米国科学財団の国立光赤外線天文学研究所NSF’s NOIRLab)

知っ得ダネ

「スペインの踊り子」ではかつて目を見張るようなショーがありました。ある恒星が一生を終えて超新星(SN2010el)になったのです。2010年のことでした。またこの先にはNASAのジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)がこの踊り子とそのまわりの18個の銀河を赤外線で調べることになっています。

This Space Scoop is based on a Press Release from NOIRLab .
NOIRLab

この記事は米国科学財団の国立光赤外線天文学研究所の報道発表によります。

写真

もっと知りたい方へ

スペース・スクープとは何?

天文学の発見

つぎの宇宙探検家を励ますこと

スペース・スクープのなかまたち

お問い合わせ