うみへび座TW星の周りの原始惑星系円盤を調べたところ、惑星作りがほぼ終わるくらい時間がたっていてガスが少ないと思われる円盤の内側にも、木星ほどの大きな惑星ができるくらい、ガスがいっぱい残っていることがわかりました!
惑星(わくせい)ができる円ばんの重さを、そこに行かずに測れたら、いいですよね?日本の天文学者のグループは、その新しい方法を見つけ、それが最も良い方法であるとわかりました。
若い星ができる時、その周りを原始惑星系円盤(げんしわくせいけいえんばん)というガスとチリでできた円盤が回っていることがよくあります。私たちの太陽系にあるような惑星は大体、こういった円盤からできます。円盤から出ている電波を観測研究することにより、円盤がどんな材料でできているかや、惑星が実際どのように作られるのかなど、いろんなことがわかるのです。
原始惑星系円盤の主成分のひとつは水素分子ガス(H2)です。しかし、このガスは電波を出さないため、観測から直接水素ガスの量を求めるのが難しいのです。そのため天文学者は、水素の次に多い一酸化炭素ガス(CO)から出る電波や、ダストから出る電波などを観測して、間接的に水素ガスの量を見積もります。しかし最近の研究から、これらの方法では正確な水素の量が正しく見積もれないことがわかってきました。
そこで日本の天文学者が、別の方法を思いつきました。総合研究大学院大学の大学院生の吉田有宏(よしだ ともひろ)さんを中心とする研究チームは、うみへび座TW星の周りの原始惑星系円盤を調べました。うみへび座TW星は、惑星ができつつある星としては、地球から最も近い天体のひとつで、196光年のきょりにあり、太陽のおとなりのケンタウルス座アルファ星までのきょりの約50倍のところにあります。
吉田さんたちは、アルマ望遠鏡の観測データを使って、これまでより15倍高い感度で、くわしい電波画像を作りました。その結果、これまでわからなかった、一酸化炭素(CO)ガスから出る電波の特ちょうをくわしく見られるようになりました。
今回わかったCOガスの電波の特ちょうから、研究チームは、円盤のガスの圧力や全体の重さなど、今までの仮定なしに、直接くわしく測れるようになったのです。吉田さんたちは今後、この方法を使って、惑星の元となったいろんな種類の円盤を調べ、円盤が年れいとともにどのように変わってゆくかを調べたいと考えています。
画像:うみへび座TW星の周りの原始惑星系円盤の電波観測画像。赤い部分がチリ、青い部分が一酸化炭素ガス、中心の白い部分がこいガスの分布を表しています。クレジット:T. Yoshida, T. Tsukagoshi et al. - ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)
うみへび座TW星の周りの原始惑星系円盤を調べたところ、惑星作りがほぼ終わるくらい時間がたっていてガスが少ないと思われる円盤の内側にも、木星ほどの大きな惑星ができるくらい、ガスがいっぱい残っていることがわかりました!
この記事は日本の国立天文台からの報道発表によっています。