1940年代にボーク・グロビュールを発見した天文学者、バルト・ボークは、これらの暗い星雲の中で星が生まれるかもしれないと考えました。しかし、赤外線望遠鏡を使って彼の仮説が正しいと証明されるまでには50年近くかかりました!
すこし時間をとって、このすばらしい写真を、ようくすみずみまで見てください。これは光っている星雲の中にある、赤ちゃん星たちを写した新しい写真です。ちゃんと細かく全部が見えましたか? 実はこれ、引っかけ質問です。なぜってここには写っていない天体があるのですから!
写真の右上に黒い傷のようなものがいくつかあるのが、わかりますか? これらの部分に星雲の光は写っていません。なぜならボーク・グロビュール※という暗い雲が視界をさえぎっているからです。これらのボーク・グロビュールは、その向こうの明るい雲からの光を吸収して、そこには何もないというように見せかけているのです。
※ 訳者注:ボーク・グロビュール(ボック・グロビュールともいう)は、オランダ生まれのボークさん(ボックさん)が発見したグロビュール(小球)という意味です。
この写真の明るく輝(かがや)いて写っている赤ちゃん星たちのように、実はボーク・グロビュールの中にも赤ちゃん星がかくれています。しかしボーク・グロビュールの濃(こ)いチリやガスは、これらの赤ちゃん星を包んで、見えないマントのようになっているのです。
でもこの見えないマントには欠点があります。天文学者が、赤外線を検出する特別な望遠鏡をボーク・グロビュールに向けると、中が見えてしまうのです。赤外線は私たちの目には見えませんが、家のリモコンでテレビをコントロールするのに使っています。そして赤外線は、ボーク・グロビュールのチリの中を通りぬけることができるのです。
ですから、ボーク・グロビュールが見えないマントで一生けん命に星をかくそうと努力しても、天文学者の強力な望遠鏡にはかないません!
1940年代にボーク・グロビュールを発見した天文学者、バルト・ボークは、これらの暗い星雲の中で星が生まれるかもしれないと考えました。しかし、赤外線望遠鏡を使って彼の仮説が正しいと証明されるまでには50年近くかかりました!