小惑星や彗星が心配しなければならないのは、なにも超巨大ブラックホールだけではありません。およそ3日に1度、彗星は太陽の熱い大気に飛び込んで消えていきます!
太陽系が形成されたころ、あとにはたくさんの小さな残がいが残りました。これらの残り物を、小惑星とか彗星といいます。
小惑星とは岩のかたまりで、そのほとんどが火星と木星の間にある小惑星帯という一帯で発見されています。それに対して彗星は氷や岩やチリのかたまりなので、よく、「よごれた雪玉」と言われています。ほとんどの彗星は、太陽から遠くはなれた太陽系のはしっこ、天王星や海王星よりもはるかに遠いオールトの雲という場所で発見されています。
しかし、すべての小惑星や彗星たちがこれらの場所におぎょうぎ良くいるわけではありません。ときどき、彗星は太陽系の内側の方までやって来ます。地球に近づいた彗星が、太陽の熱でその氷を蒸発させて、夜空にすばらしい“尾”をひいているのを観るのは、とても楽しいことです。
小惑星はときどき地球のそばを通過します。地球の大気の中に入った小惑星の小さなかけらは、隕石と呼ばれます。そして地球の大気の中を通るときに隕石は燃え上がるので、流れ星になります。今日、天文学者たちは、私たちの宇宙、つまり天の川銀河の中心近くにある小惑星にも、にたようなことが起きているかも知れないと考えています。
ほとんどの銀河の中心には、超巨大(超大質量)ブラックホールと呼ばれる天体があります。どんなものでも、超巨大ブラックホールに近づきすぎたものは、逃げられることのできない強い力で引き込まれます。光でさえも逃げられません!
私たちの銀河の中心にある超巨大ブラックホールは、いて座A*(Aスター)と呼ばれています。数年にわたり天文学者たちは、いて座A*からやってくるX線光の神秘的なかがやきに気づいています。今日、天文学者たちは、このX線光のかがやきは、おそらくいて座A*が小惑星を飲みこむ時に引きおこされたものと考えています。ちょうどそれは夜空に見える隕石(または流れ星)が燃えつきるときにできる光のすじと同じです。
もしもこの理論が正しければ、いて座A*の周囲には、何百兆もの小惑星や彗星があるに違いありません!
小惑星や彗星が心配しなければならないのは、なにも超巨大ブラックホールだけではありません。およそ3日に1度、彗星は太陽の熱い大気に飛び込んで消えていきます!
この記事は、チャンドラX線観測衛星による記者発表にもとづいています。