宇宙で一番冷たい場所はどこでしょうか? 地球の南極ではありませんよ。南極ではせいぜいマイナス62度になるにすぎません。宇宙の最も遠いところでもありません。科学者が知るかぎり最も低い温度に達したところは、地球上にあります。科学者は絶対零度に驚くほど近い低温を、実験室の中でなんとかつくり出したのです。
宇宙って、とても冷たいのです。もしあなたが全宇宙訪問の旅のツアーバスに乗り込んだら、たくさんの“ホット”な面白いところ、例えば私たちの太陽や、モンスターのようなブラックホール、それに無数の輝く星たちを通ることでしょう。でも宇宙のほとんどは、信じられないくらい冷たいのです。 その空っぽの暗闇は、宇宙の大部分を平均マイナス270度!にしているのです。それは最大限に冷やすことができる温度、“絶対零度(せったいれいど)”のマイナス 273度よりわずかに高いだけです。
この写真にある変な物体もとても“冷たい”ものです。熱い火のリボンが宇宙にのびているように見えるかも知れませんが、実は冷たいガスとチリの雲で、マイナス250度!なんです。凍えますね。
赤色の部分は光のかすかな輝きで、本当は私たちの目には見えないところです。 このことは、もし光を音だと考えれば簡単にわかります。ある種の音は 低すぎて私たちの耳には聞こえません。しかし他の動物、例えばクジラなら、まだ聞こえます。この写真の中の赤い雲から放たれている見えない光は、電波と言います。ラジオや携帯電話で情報を送るのに使われている電波と同じものです。私たちの耳にとても低い音が聞こえないように、私たちの目では電波は見えません。 しかし、ある種の望遠鏡でなら見ることができます。天文学者たちはそういう望遠鏡から集めたデーターをもとに画像つくり、色をつけました。ですから、もともと見えないものでも、こうして見て楽しむことができるのです。
何か冷たいものを赤色にしたことは、ちょっと不思議に思われるかもしれませんね。普通わたしたちは赤い色を、温水の蛇口(じゃぐち)とか炎のように熱いものとして考え、冷たいものは青色で表します。しかし宇宙のできごとでは色は反対になっています。明るい青い点々が写真の周辺にたくさんありますが、これらはとても熱い若い星ぼしで、冷たくなればなるほど、実はどんどん赤くなるのです!
宇宙で一番冷たい場所はどこでしょうか? 地球の南極ではありませんよ。南極ではせいぜいマイナス62度になるにすぎません。宇宙の最も遠いところでもありません。科学者が知るかぎり最も低い温度に達したところは、地球上にあります。科学者は絶対零度に驚くほど近い低温を、実験室の中でなんとかつくり出したのです。
Shinichi Miyazaki / Nishi-Harima Astronomical Observatory