この発見の一番のおどろきは、チリをとらえるわなの形です。天文学者の期待をよそに、その形はリング状ではなく、 くの字形 のカシューナッツの形です。
今では、宇宙にはたくさんの惑星があることがわかっています。遠くの恒星の周りを回っているエイリアンが住むかもしれない世界は、1000近く見つかっています。私たちによくわからないことは、それらがどうできたのかということです。若い恒星の多くは、写真の星のようにチリのリングに取り巻かれていることはわかっています。しかし、若い恒星の回りにある円ばんの中の小さなチリつぶが、どのようにだんだん大きくなり、小さな岩や彗星(すいせい)になったり、やがては私たちが住んでいるような巨大なもの、ゴツゴツした惑星になるのでしょう? これは一種のミステリーで、アルマ望遠鏡(ALMA;アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)が解き明かそうとしているものの一つです。
私たちが今考えているそのミステリーは、どうやって大きめのチリが生き残って成長するかということです。大きな石のかたまりは、おたがいに非常に速いスピードでぶつかってしまいます。ということは、それらはほとんどの場合お互いにぶつかって粉々になり、もとのチリにもどってしまうことになります。そしてもしもこういうことが起きないとしても、より大きなつぶは中心の恒星の方に‘沈み込んで’いくはずで、砂山に重い石が沈んでいくのと同じで、より大きくなるチャンスはないでしょう。
チリが大きくしっかり成長して残っていくためには、ある種の安全な場所が必要です。そのようすを、このかっこいいアニメで観ることができます。今までいわゆる‘チリのわな’は見つかっていませんでした。しかし、天文学者はとうとうそのようすを一つ、カメラにとらえたのです。
この発見に貢献したオランダのライデン天文台の天文学者、ニンケ・ファン・デア・マーレル(Nienke van der Marel)は、「私たちは、彗星を作る工場を見ているようです。チリのわなの中の細かいつぶは、直径2~3kmへと成長することができます!」と言っています。
この発見の一番のおどろきは、チリをとらえるわなの形です。天文学者の期待をよそに、その形はリング状ではなく、 くの字形 のカシューナッツの形です。