星の一生は、いろいろな事、たとえば銀河の衝突(しょうとつ)や近くでおこった超新星爆発の衝撃波(しょうげきは)などがきっかけで始まります。
この新しくとられた写真をみると、だれかが美しい星々の一部をぬすんでいったように見えませんか? でも心配しなくでだいじょうぶ。このミステリーをとくために、名探偵シャーロック・ホームズは必要ありません。この“宇宙犯罪”は、とっくに解決ずみです。
たくさんの光かがやく星々の中に黒くあいているすきまは、実はまったくすきまなどではありません。これはガスやチリでできた暗い雲が、その後ろの光をさえぎっているのです。
このような雲のことを暗黒星雲といいます。それらは、空っぽの、星のない場所のように見えるのですが、実はこれらは全宇宙の中で一番いそがしく星をつくっている工場なのです。
星はこのような暗黒星雲の中でガスやチリからつくられるのです。そして、たくさんのうす暗く見える光のかたまりの中には、実は、生まれたての星が、あふれんばかりにかくされているのです。この写真にもそれが写っています。
星ができる一番はじめの段階は「原始星」といいます。この時点では星と言っても単に冷たいガスとチリのかたまりで、重力の作用で中心へちぢまっていきます。この時、星の中心に原子の炎はまだついてもいません。太陽のように原子の炎が光り出すのは、もう少したってからです。
だんだんちぢまりながら、原始星はつぶれて、よりかたく、より熱いボールになっていきます。そしてその温度は、すごい低温の-250℃から始まって、一人前の恒星(こうせい)になったときには、最高の場合、4万℃(表面温度)にまで達します。
この写真にあるように、暗黒星雲は、どんどん星をつくっていくにつれて、だんだん雲が食べられて(使われて)、うすくなっていきます。そして後方にかくされていた星々や生まれたばかりの新しい星たちが現れて見えてくるのです。
星の一生は、いろいろな事、たとえば銀河の衝突(しょうとつ)や近くでおこった超新星爆発の衝撃波(しょうげきは)などがきっかけで始まります。