CG4という天体は、この写真の中ではたいへん明るく見えていますが、実はずいぶんかすかなものです。実際、大きな望遠鏡を使わないと見えない冥王星(めいおうせい)と同じくらいの明るさなのです。
この記事はESOからの報道発表によります。
この新しい写真にある、巨大な、宇宙怪獣の大きくさけた口のような、あやしく光る天体は、CG4とか「神の手」と呼ばれています。それは、私たちが「彗星(すいせい)のしずく」といっているものです。
この空にうかぶ雲の切れっぱしのようなものは、私たちが彗星とよんでいる岩と氷のかたまりとはまったくちがうものですが、厚くて暗く、ほこりっぽい頭と、長いかすかな尾の形は彗星と同じです。ただ大きさは彗星よりももっともっと大きいのです。
これらの彗星のような天体は、1976年に、ガム星雲という鮮やかに輝く巨大な星雲の写真のなかに初めて発見されました。そこには厚くて暗く、ほこりっぽい頭と長い、かすかな尾をもつ天体がいくつかありました。
私たちがこの写真で見ている部分は、その頭にあたります。写真に写っていない尾は、頭の約5倍長くなっています。でも、頭にあたる部分にはまだ、太陽級の星をいくつか作ることができるくらい十分なガスが残っています。
CG4と他の「彗星のしずく」がこのように形づくられる理由は、まだ天文学者にはよくわかっていません。でも、2つのおもな答えが用意されています。
ひとつ目は、「彗星のしずく」は丸い雲として始まり、やがて近くにできた超新星爆発からのエネルギーが丸い雲を彗星の形に吹き飛ばしてしまうという考え方です。
天文学者の別の答えは、「彗星のしずく」は、おそらく、熱くて巨大な星からの強風と放射線によって形づくられたものだろうというものです。
CG4という天体は、この写真の中ではたいへん明るく見えていますが、実はずいぶんかすかなものです。実際、大きな望遠鏡を使わないと見えない冥王星(めいおうせい)と同じくらいの明るさなのです。
この記事はESOからの報道発表によります。
Kenichiro Takashiba / Friend of Nishi-Harima Astronomical Observatory