海が消えてしまった惑星
2015年3月5日

  数十億年前、火星表面のようすは、今とはずいぶん違っていました。今は乾いた赤色の砂漠ですが、大昔、そこにはとっても広い海があり、全表面のおよそ20%をおおっていたのです。それは、大西洋が地球をおおう割合よりも多かったのです。

  この巨大な海の水は、火星の表面のすべてを、深さ100メートル以上でおおうことができるほど、充分にあっただろうと考えられています。

  これは火星の大気についての最近の研究によって明らかになりました。科学者たちは二種類のちがったタイプの水が含まれる量に注目していました。一つはふつうの水で、私たちが飲み水として使ったりお風呂に使っているタイプです。

  もう一つは重水素という、特別なタイプの水素をふくんでいる水です。この水素は、ふつうの水よりほんの少しだけ重い水をつくります。

  ここが重要なところです。なぜなら太陽からの光は重水素からできている水よりも、ふつうの、つまり少し軽い水を先に水蒸気として蒸発させて、宇宙に飛ばしてしまうのです。

  ですから、現在の火星の大気の中に、どれだけ軽い水と重い水がふくまれているか、その量を比較して調べることで、どれだけのふつうの水が失われて宇宙に出て行ったかがわかるのです。

  この新しい研究結果からわかったことは、おそらく火星は、今まで考えていたよりも、かなり長い間、しめった世界だっただろうということです。このことは、もっと重要なこととして、火星は私たちが思っていた以上の長い間、生物にとって適した惑星だった、ということを意味します。

知っ得ダネ

  火星はかつて地面の下に、今まで考えていたよりも、もっと多くの水をかくしていた可能性があります。そして、そのいくらかは、今でもまだ地中に残っているかもしれません。

This Space Scoop is based on a Press Release from ESO .
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