2つのメデューサ物語
2015年5月20日

蛇の髪を持つメデューサも元は美しい女性でした。宇宙にもそんなメデューサに似た天体があります。

有名なギリシア神話に、メデューサという美しい金色の髪の女の人の話があります。メデューサはうぬぼれが強くてわがままでした。そのため、彼女はえらい女神のアテナとうまくいっていませんでした。女神アテナはメデューサの悪いおこないに対する罰(ばつ)として、メデューサの美しい金色の髪の房をそれぞれ毒ヘビに変えました。

この話がどう天文学につながるのだろうとふしぎに思っていませんか?それはですねぇ、この写真のガスとちりでできた雲のようなものはメデューサ星雲といわれているのですが、けむったようなガスのカーテンが、天文学者にはメデューサの頭のヘビのように見えるからなんです。あなたにはどう見えますか?

メデューサのかみの毛のヘビと、けむった星雲のようすがにているという話は、これで終わりではありません。この雲からできたガスは、かつて私たちの太陽によくにた美しい金色の星の中にありました。しかし、メデューサの金色の髪の毛と同じように、この星もこのまま続かなかったのでした。

星が年をとったので、前より大きくなりました。何百万年の間に、星がだんだん大きくなり、あまりに大きくなって、ついには、ガスは中心からどんどん遠くへただよっていきました。それらは宇宙空間に散っていき、この写真に見るようなあざやかな形になりました。私たちは、これらの雲を惑星状星雲(わくせいじょうせいうん)と呼んでいます。

何万年の間も、この惑星状星雲は、その親星(元になった星)の残がいを取り囲みます。しかしこの時間は、星の一生の中ではほんのわずかな瞬間です。ちょうどあなたがシャボン玉をふいて、それがスーっと流れていくのを見ている時間が、あなたの一生の中ではとても短いのと同じくらいに短いのです。

知っ得ダネ

惑星状星雲のもとになった親星は、現在私たちが白色矮星(はくしょくわいせい)と名づけているもので、今までの宇宙の歴史よりも長く、何百億年間もこのままの状態でいることでしょう。   

この記事は、ESOからの報道発表によります。

This Space Scoop is based on a Press Release from ESO .
ESO

Kenichiro Takashiba / Friend of Nishi-Harima Astronomical Observatory

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