最初に生まれた星ぼしは、とんでもなく重かったと考えられます。太陽の数百倍か、もしかしたら千倍も重かったでしょう。
「ビッグバンで私たちの宇宙は生まれた」というと、宇宙の始まりって、とてつもないできごとで、信じられないくらい大きな音と光の爆発があったように思えるでしょう? でも宇宙の誕生って、たぶん、とてもかすかな始まりだったのです。
宇宙は誕生したあと、とても長いあいだ広がっていて、そのあいだ宇宙はすっかり暗やみで、音もなく空っぽの状態でした。宇宙に初めて星が輝いて現れたのは、おそらく宇宙誕生から1億年ぐらいたったときです。この時、宇宙にはガス以外なにもありませんでした。
私たちの宇宙に現れた最初の星ぼしを見た人は、いままでに誰もいません。なぜならば、その星たちは、遠い昔になくなってしまったからです。でもたくさんの天文学者たちが、その存在について議論してきました。その星ぼしは、ビッグバンの爆発でできた物質から形作られたものだと思われています。
星ができるより前に宇宙にあったものといえば、水素、ヘリウム、そしてリチウムだけです。ということは、最初の星ぼしはたったこれだけの物質でできていて、私たちの天の川銀河に今ある太陽や、ほかの星ぼしとはちがっていたはずです。
天文学者は、宇宙からやってきた光が、タイムトラベルをして過去からやってきたように見える性質をつかって、宇宙で最初にできた星をさがすため、遠くの宇宙のようすをくわしく調べています。そこは光が出発した場所で、そのころはまだその天体はとても若かったのです。そして最近、学者たちは、おどろくほど明るく輝いている、とても若い銀河を、いくつか発見したのです!
そういう中の一つで、科学者たちに特に話題になっているのは、CR7という銀河です。CR7は、今までに観測された若い銀河のなかでは一番明るい銀河です。
この画家の絵は、その若い銀河をえがいたものです。ちょうど妖精(ようせい)がまいた輝く魔法の粉のようにみえるかたまりは、もちろん不思議なことですが、この銀河が、宇宙に最も初めにできたいくつかの星ぼしにとっての、生まれ故郷だということを表しています。
これらの最初の星ぼしによって、水素やヘリウムやリチウムなどよりも、もっと重い物質が宇宙に初めてつくられました。そのおかげで今の私たちがあるといえます。それって、すごいことではありませんか?
最初に生まれた星ぼしは、とんでもなく重かったと考えられます。太陽の数百倍か、もしかしたら千倍も重かったでしょう。