今までお話ししたことは、ちょうどリチウムに興奮している天文学者だけに限ったことではなく、地球上でも役に立つことです。たとえば、ほとんどの使い捨ての電池は、リチウムを含んでいるのです。
この記事はESOからの発表報道によります。
これから私たちの今いる宇宙を1つ作ってみるとにしましょう。では、つぎの材料を用意して取りかかりましょう。
水素 カップ3杯
ヘリウム カップ1杯
リチウム ひとつまみ
ベリリウム 少々
たったこれだけです。138億年前に起こったビックバンで宇宙は生まれましたが、ビックバンで誕生した生まれたての宇宙には、このたった4種類の元素しかありませんでした。
いまは、ビッグバンからほぼ140億年たっています。そして、92種類の元素が宇宙にあります。宇宙では、巨大な星から最も小さな昆虫やあなたのお気に入りのチョコレート・クッキーまでも、すべてがこれらの元素で作られています。
私たちは88個の新しい元素がどこから来たのかを知っています。これらは星の内部で料理されて、宇宙にはきだされました。でも、まだわかっていないことがいくつかあります。いちばん未解決の謎(なぞ)は、リチウムにかかわることです。
リチウムは宇宙の中の最初の元素のうちの1つです。しかし、今日わたしたちの銀河で見られるリチウムの量については、天文学者にはいろんな意見があります。より年老いた星は予想以下であり、より若い星で予想の最高10倍以上もリチウムを持っていいるものもあります。
最近、天文学者は、新星と呼ばれる星が爆発を起こして、リチウムを噴き出しているところを初めて見つけました。新星は突然に、しかも激(はげ)しく爆発することができる星で、そのとき星の内部からでているガスを宇宙に放出します。
たとえこの新星によってつくられるリチウムの量が少なくても、数億もの新星が天の川銀河の歴史に登場しました。もし、これらの新星のそれぞれがリチウムを同じように少ない量を放出しているなら、簡単に私たちが若い星で見た大量のリチウムを説明するのに十分でしょう!
天文学者にとって、これらの新しい観測は、ずっと見つからなかったジグソーパズルのピースを発見したようなもので、巨大な宇宙のナゾをとくのに役立ちます。
今までお話ししたことは、ちょうどリチウムに興奮している天文学者だけに限ったことではなく、地球上でも役に立つことです。たとえば、ほとんどの使い捨ての電池は、リチウムを含んでいるのです。
この記事はESOからの発表報道によります。
Kenichiro Takashiba / Friend of Nishi-Harima Astronomical Observatory