ラジオ・フェニックスの復活
2015年9月9日

  あなたはフェニックス(不死鳥)の話を知っていますか? フェニックスは神話にでてくる黄金の鳥で、何百年も生きます。そして年をとって弱くなると、とつぜん大きく燃え上がり、また自分の灰の中から新しく生まれかわります。

  おとぎ話のようなことが現実に起きること、特にフェニックスの神話のように劇的(げきてき)なことが実際に起きることは、そんなに多くありません。でも、宇宙にはたくさんの不思議なことがあります。そして最近、天文学者たちは、長い間なにも活動がなかった宇宙のいっかくが「息を吹きかえした」のを目撃(もくげき)したのです。ちょうど神話の不死鳥、フェニックスのような復活です!

  この現実に起こった、おとぎ話のような出来事は、遠方にある超巨大ブラックホールが、突然(とつぜん)、登場した時に始まります。非常に大きなエネルギーを持った大量の粒子が、ブラックホールから吹き出しました。この粒子のジェットはとても強力だったので数十万光年も広がり、明るく輝(かがや)く星雲になりました。

  その後、何百年ものあいだこの星雲は、宇宙の中ではっきりと明るく輝いていました。でもそれは肉眼で見える光ではなくて、光の一種の電波(ラジオ・ウェーブ)を出して輝いていたのです。そしてしだいに星雲はエネルギーを使いつくして暗くなり、宇宙の暗闇(くらやみ)の中に消えていったのです。

  ・・・・しかし、話はそこで終わりません。

  またずいぶんと時がたってから、べつのものすごい出来事がこの巨大な星雲の近くで起こりました。2つの銀河の集団が、ぶつかったのです。

  この衝突はとっても強力で、ちょうどだれかが炭酸飲料のカンを押しつぶしているみたいに、近くにあった星雲に衝撃(しょうげき)をあたえたのです。でも星雲からは炭酸ガスが出てくるのではなく、かわりに、この新たに加わったエネルギーがきっかけで、星雲はふたたび電波を出して輝いたのです。こうして電波不死鳥(ラジオ・フェニックス)はよみがえったのです。

  このふたたび活性化して電波を出した不死鳥のようすは、上の写真に見ることができます。写真中央より少し下に見えるみどり色の曲がった線がこの電波不死鳥です。

知っ得ダネ

  天体の多くは電波を放射していますが、この星雲は1932年まで発見されていませんでした!

This Space Scoop is based on a Press Release from Chandra X-ray Observatory .
Chandra X-ray Observatory
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