初めてレーザーができたのは1960年のことで、その成果を記念して5月16日は「世界光の日」とされています。
レーザーはとても強い光のたばで、空に何キロも輝(かがや)く筋をのばしたり、金属のかたまりを切りさくこともできます。私たちの生活の中でもいたるところに使われていて、バーコードを読み取る機械やコンサート会場での光の演出にも使われています。また映画の中にも出てきます。映画『スターウォーズ』にでてくるファースト・オーダーという組織のスターキラー基地は、一瞬(いっしゅん)で1つの星を破壊(はかい)してしまう強力なレーザー砲(ほう)を備えています。
でも、心配はいりません。星を破壊するレーザー砲なんて本当はありません。えっ・・・・、ちょっと待って・・・・。いや、ありました。
天文学者たちは、ここに写っているガスの雲の中心から、レーザー光線が放たれているのを見つけています。この写真は、とてもみごとな“アリ星雲”です。これは惑星状星雲(わくせいじょうせいうん)というもので、太陽のような恒星(こうせい)がその一生を終えるときに一番外側のガスを宇宙に放出してできたものです。色とりどりのきれいな形がアリの体に似ていると言う人もいますが、あなたはどうですか?
ふつう、このような惑星状星雲の中心には、小さくて白い色の星(白色矮星/はくしょくわいせい)が1つあるだけで、そのまわりには何もありません。でもアリ星雲の場合は、ふつうの星より1万倍もの多くの物質がまわりにつめこまれています。このまわりの物質は渦(うず)巻き状の円ばんになっていて、そこから強力なレーザー光線が出ているのです。
この円ばんは、白色矮星のそばにかくれた星があって、その星によって作り出されたようです。この見えない白色矮星の連れの星は、強力な重力によって白色矮星ができたときに放たれたガスをうばっているのです。そしてうばわれたガスはかくれた連れの星にたまるにつれて円ばんの形になっていくのです。ちょうど排水口(はいすいこう)に流れ落ちる水が渦(うず)を巻いていくのとにています。
宇宙でのレーザー光は非常に珍(めずら)しい現象で、今までにほんのわずかしか見つかっていません。まさに光りかがやくような発見ですね。
初めてレーザーができたのは1960年のことで、その成果を記念して5月16日は「世界光の日」とされています。