赤色超巨星がばく発する時、II型(にがた)超新星になることが知られています。星の中の「かまど」が燃料を使い果たしたことがきっかけで、中心部が重力でつぶれ、とんでもない大ばく発につながるタイプの超新星です。
夜空を見上げても、小さくきらめく光ひとつひとつが、熱く光る巨大なガス球だとは、信じられないものです。一番小さな星々でさえ、地球の何倍も大きく、一番大きな星々にいたっては、太陽を回る地球の軌道(きどう)がすっぽり入ってしまうほどです。
この、とてつもなく大きな星々のことを「赤色超巨星(せきしょくちょうきょせい)」とよびます。最期(さいご)をむかえようとしている星々で、間もなく劇的な超新星(ちょうしんせい)ばく発を起こします。
超新星は、宇宙で一番大きなばく発です。太陽の100億倍も明るくかがやき、太陽が一生かけて放つよりも大きなエネルギーをわずか数日で発するのです。
赤色超巨星が超新星になる時、特別なことが起こります。全体がばく発する直前に、いっしゅん、とても明るくかがやきます。星の中心から出たエネルギーが、衝撃波(しょうげきは)となって外へ拡がるとき、星の表面をはげしく通りぬけます。これを「ショック・ブレイクアウト」といっています。
ショック・ブレイクアウトはわずか20分くらいしか続かないため、その光をとらえることは簡単ではありません。それでも、2016年に初めて、目で見える可視光線(かしこうせん)で観測されました。しかし、ショック・ブレイクアウトを調べたい科学者は、その後ツキがないようです。ねばり強く26個の赤色超巨星がばく発するのを見たにも関わらず、直前のいっしゅんのかがやきを見のがしたのです。
なぜショック・ブレイクアウトが見られなかったのか、科学者はなぞを解くためにテクノロジーを使いました。強力なスーパー・コンピューターの中で、超新星ばく発をくわしく再現したのです。星の明るさなどの「条件」を少しずつ変えた500パターンもの超新星を、コンピューターの中で作ったのです。
間もなく、ある「成分」で現実の観測データをうまく説明できることが明らかになりました。それが星を取り囲むガスとちりです。実際にいろいろな超新星のまわりで見つかっていますが、これらがショック・ブレイクアウトの光をかくしてしまうため、望遠鏡で見ることができないのです。
このはげしい現象を理解することに何の意味があるのか、疑問に思われるかもしれませんが、物質が私たちの銀河内にどのようにばらまかれるか、わかるのです。地球上や私たちの体内にある銀やニッケルや銅はみんな、星が死ぬ時の大ばく発からやって来たのです。超新星のおかげで、生命が存在しているのです。
赤色超巨星がばく発する時、II型(にがた)超新星になることが知られています。星の中の「かまど」が燃料を使い果たしたことがきっかけで、中心部が重力でつぶれ、とんでもない大ばく発につながるタイプの超新星です。
この記事は、日本の国立天文台からの報道発表によっています。