夜空をかけぬける星
2018年11月16日

マンガに出てくるキャラクターたちはすごい力を持っています。スーパーマンは目からレーザービームを出せるし、ハルクは山を持ち上げることができます(本当に、一度持ち上げたんです)。

さて、宇宙にもスーパーヒーローがいます。たとえばこの写真の恒星(こうせい)はアメリカンコミックのヒーロー「フラッシュ」のように、超(ちょう)高速で移動するという能力を持っています。実際、私たちが見ている夜空を、ほかのどの恒星よりも速いスピードで横切っていきます。 この恒星の名前はバーナード星。私たちの一生のあいだ、だいたい80年ほどのあいだに、満月と同じくらいのはばを移動してしまいます。

バーナード星は太陽に一番近いひとりぼっちの恒星です(ふつう恒星はペアかグループになっています)。このスーパーパワーのひみつは、私たちからとても近くにいるということなんです。 砂浜に座って海を見ていると想像してください。目の前を犬を連れた人が横切っていきます。通り過ぎていくのに数分しかかかりません。その向こうの遠くの海にうかんでいる船は、その人よりもずっとゆっくりと進んでいきますよね。もちろん私たちは、船のスピードの方がずっと速いことは知っています。距離のちがいのせいでこんな見え方になるのです。

この見え方のトリックがバーナード星を見るときにも起こっています。宇宙全体の基準から見ると、この恒星は私たちにとても近いので、他の恒星よりも速く動いているように見えるのです。しかもこの小さなバーナード星には、周りを回っている惑星(わくせい)があることも最近発見されました。ますますヒーローっぽいじゃありませんか!

新しく発見されたこの惑星は、地球に2番目に近い系外惑星です。地球の3倍ほどの質量(しつりょう)でごつごつした表面があります。でも、残念ながら地球に似ているのはそれだけです。バーナード星は赤色わい星、つまり太陽よりもずっと低温で暗い恒星なのです。いくら近くにあっても、その惑星は冷たくて暗い世界で気温はマイナス170度以下、生命には生きられない場所なのです。

知っ得ダネ

バーナード星の実際のスピードは時速50万㎞です。ものすごい高速ではあるけれど、さらに上をいく恒星があります。チャンピオンはUS708という恒星で時速400万㎞で宇宙をかけぬけていきます。

この記事はESOの報道発表によります。

This Space Scoop is based on a Press Release from ESO .
ESO

Junko Misaka / Osaka Science Museum

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