なぜかふしぎにも姿を消したこの巨大な星、以前は太陽の250万倍も明るかったのです! しっかり見えたのです!
最近、とっても大きくてとっても重たい星が、今まで普通に見えていたのに急に見えなくなりました。まるでマジシャンがマジックショーのフィナーレとして、アッとおどろくトリックをしたみたいです!
マジシャンのような星
このいたずらっ子のような星は、地球から7500万光年はなれたところにあって、みずがめ座の星です。
2001年から2009年の間、さまざまな研究チームがこの神秘的な巨星を研究しました。それらの研究によると、この星はその一生の最後の段階にありました。最近になって、ある天文学者たちが、巨星はどのように最後をむかえるかを研究しようと、ヨーロッパ南天天文台のVLT(超大型望遠鏡)を使って、この星を新たに観測しようと決めました。ところがとてもおどろいたことに、この星は、なんと、消えていたのです!
こんなことって、説明できますか?
マジックショーのお客さんが一生けん命にタネを見破ろうとするように、この巨大な星がどのように消えてしまったのか、私たちもいろいろと考えることができます。
このようなタイプの星にはよく見られることですが、この星が巨大な超新星(ちょうしんせい)ばく発をおこして死んでいたなら、世界中の天文学者たちは、だれもがその明るい光に気づいたはずです。
ところが今回はちがっていて、天文学者たちによると、この星はまだそこにあるかもしれないというのです。でも、私たちには、もはやそれを見ることができません。この星は輝(かがや)きの少ない星へ変身したかもしれないのです。つまり、エネルギーをあまり出さなくなって、科学者によく見えなくなったのかも知れないのです。
もう1つ考えられることは、この星は超新星ばく発をおこさずにつぶれて、ブラックホールになったかもしれないということです。ちょうどマジシャンによって、人が私たちの目の前で秘密のドアからサッとぬけ出て完全に消えてしまうように、この星もとつじょ消えたのかもしれません。巨星がどのように死ぬかについて今わかっていることは、星はつぶれてブラックホールになる前は、いつでも超新星になる、ということですから、これはかなりビックリする考えになります。
このふしぎな星がどうして私たちの視界から消えたようにみえるのか、そのしくみを科学的に説明できるような今後の研究が期待されます。秘密が明らかになるまでのしばらくの間、私たちはがまん強いお客さんになって、宇宙のマジックに、え~?とふしぎがり、ナゾに包まれ続けて行きましょう!
画像提供:ESO および L.Calçada
なぜかふしぎにも姿を消したこの巨大な星、以前は太陽の250万倍も明るかったのです! しっかり見えたのです!