イオの大気は地球の大気の10億分の1といううすさなんですよ!
激しい噴火でみなさんご存じの火山も、天文学者が見れば、その天体の内部を知る窓にもなるのです。
木星の衛星(えいせい)、イオ
木星の衛星(えいせい)イオは、人間にとってはあまりいごこちのいい場所ではありません。イオは私たちの太陽系の中で一番、火山活動が激しい場所なんです。イオには400個もの火山があり、くさい硫黄(いおう)のガスをまき散らしています。このガスが地面に降り積もって凍ることによって、イオの表面には黄色、白、オレンジに赤という色がはっきり見えます。
衛星がどのように生まれて、どのように成長するのか、特に私たちの月とはかなりちがう他の衛星についてもっと知るために、天文学者たちはイオなどの衛星を調べてみました。これは、地球以外の場所に生命がいる可能性を調べることにもなります。
今回わかったこと
私たちはイオの大気で呼吸することはできません。成分は火山のガスで、しかもとてもうすいのです。さて、今回アルマ望遠鏡が電波で観測したこの新しい画像は、イオの大気に火山活動が直接あたえた影響をはじめてとらえたものです。天文学者のチームはアルマ望遠鏡を使って、イオが木星の影に入って出るまでの間をさつえいしました。 イオが木星の影に入って出るまでの間に天文学者たちは初めて、2種類のガスが火山から出ているのをはっきりと見ることができました。1つは二酸化硫黄(にさんかいおう)で毒性のあるガス、もう1つは一酸化硫黄で地球上にはないガスです。
この写真は肉眼で見える可視光線でとらえたイオの写真に、肉眼では見えない電波でとらえた画像をかさねたものです。二酸化硫黄(写真の黄色い部分)が、火山からふきだしているのがはっきりと見えますね。
イオの火山を観測することで、イオの地下にあるものだけでなく、大気に何がふくまれているかがわかります。今回の観測で、イオの大気の半分近くが、火山からふき出したガスでしめられていることがわかりました。
写真提供:アルマ望遠鏡(ESO/NAOJ/NRAO)、I de Pater氏ほか(米国立電波天文台)、S. Dagnello氏(NASA/ESA)
イオの大気は地球の大気の10億分の1といううすさなんですよ!