日本のチームが宇宙を作ったスーパーコンピュータには、「アテルイII(アテルイ ツー)」という名前がついています。2018年6月から国立天文台で本格的に動いています。6.5ペタバイトのディスクを持っていますが、それは、ハッブル宇宙望遠鏡の保存している情報全部の40倍以上になります。
「数当てゲーム」をしたことがありますか?
このゲームでは、マジシャン役の友達が、1から100のうちのどれかを書いた紙をぼうしの中にかくします。あなたはそれを当てようと、何回か数字を言います。あなたが正解よりも大きい数を言ったら、友達は「もっと小さい」とヒントをくれます。これをくり返してあなたは数を当てるのです。できるだけ少ない回数で当たると楽しいですよね。
天文学者もそんなゲームをします。そして日本とアメリカのチームが、ゲームを全く新しいレベルに引き上げました。
日本の天文学者のグループは、自分たちが考えた方法で、宇宙がどのように進化するかを決定づける「マジック・ナンバー」を正しく求められるか、確かめたいと思っていました。この数は「宇宙論パラメータ」とよばれ、観測データからのみ求められます。
この宇宙論パラメータは、例えば、正体不明の物質「ダークマター」の量や、宇宙ぼうちょうを加速させる「ダークエネルギー」の効果などから決まります。しかし、ダークマターやダークエネルギーを直接観測することはできません。天文学者が使っている宇宙論モデルやデータ分せきには、宇宙の「ダークな」(=見えない)部分が入っているため、正確かどうか判断するのが難しいのです。
そこでデータ分せきをテストするため、日本のグループはスーパーコンピュータの中に、10回作った宇宙を合成し、本物ソックリの宇宙を作りました。これまでで最も広く銀河を観測したデータの約100倍も大きな体積の宇宙です!宇宙論パラメータという名のマジック・ナンバーを選んで宇宙を作ったのです。そして、本物の宇宙で観測された銀河の配置をまねて、コンピュータで作った宇宙にも銀河を並べていきました。
さらに、自分達がコンピュータの中に作った宇宙の、宇宙論パラメータをほかの天文学者に教えないで、当ててもらうチャレンジへの参加をよびかけました。一発で「マジック・ナンバー」を当てる数当てゲームです。
結果はどうだったでしょう?アメリカのふたつのチームはそれぞれに別の方法で、日本のチームからもらったデータを分せきし、とても正確に一発で「マジック・ナンバー」を当てたのです!
この結果から、アメリカのグループが使った方法で、本物の宇宙での観測データから正しい宇宙論パラメータを求められる期待が高まっています。
画像提供:国立天文台
日本のチームが宇宙を作ったスーパーコンピュータには、「アテルイII(アテルイ ツー)」という名前がついています。2018年6月から国立天文台で本格的に動いています。6.5ペタバイトのディスクを持っていますが、それは、ハッブル宇宙望遠鏡の保存している情報全部の40倍以上になります。
この記事は、日本の国立天文台からの報道発表によっています。