木星はほんとうに大きな惑星です。そのほかの太陽系の惑星を全部あわせても、その重さは2倍もあります。でもその大きさににあわず、木星の1日はほかの惑星とくらべると一番短いのです。一周クルッと自転するのは、たったの10時間ほどなんです!
木星はガスでできたとても大きなボールです。大気はとてもあらあらしく、雲がつながった何本もの帯は、それぞれ逆むきに動いてまわっているし、終わりがないような嵐(あらし)がそこらじゅうにふきあれています。とくにあの有名な大赤斑(だいせきはん)という嵐はとても大きくて、地球ならすっぽりのみこまれるぐらいです。
(訳者注:写真中央やや左下の赤茶色のだ円が大赤斑)
天文学者たちはいつもいろいろな観測装置やいろいろな光を使って、わく星やこう星といった天体を観測します。そうするといろいろちがったことがわかるからです。X線望遠鏡ではよく見えても、赤外線望遠鏡では見えないものもあるし、反対に赤外線でならよく見えるのに、X線望遠鏡では見えないものもあるからです。電波望遠鏡だったら宇宙からやってくるかすかな電波信号をキャッチできますが、目に見える光、可視光を観測する光学望遠鏡ではそれはできません。
ある科学者たちが、ジェミニ北望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡のデーターを使って、上の画像のように、左から赤外線、可視光、紫外線(しがいせん)という3種類の光で観測した木星の新しい画像を発表しました。
これら3つの光は、どれも科学の世界では「電磁波(でんじは)」という光のなかまです。たとえば温かいと感じる“熱”は、赤外線とよばれる電磁波で見ることができます。熱は私たちの目には見えないのですが、ヘビにはわかります! 日焼けを引き起こす“紫外線”も私たちの目には見えないのですが、ハチには見えています。私たちの目だけでは見えないいろいろな光があるので、それらを観測しようとおもったら、特別な天体望遠鏡のように、さまざまな装置や機器が必要です。
たとえば上の左の赤外線画像をまんなかの可視光の画像とくらべると、大赤斑の暗い部分が大きくみえています。そのことから、そのあたりは内部のしくみがまわりとちがっていて、赤外線が出ているのだとわかります。
赤外線の観測では、大赤斑には厚い雲があることがわかりますが、可視光や紫外線の観察では“発色団”のある場所がわかります。発色団は青色や紫外線をすいこむ分子で、この大嵐が大赤斑といわれるもとになった赤かっ色を作りだしています。
そのほか木星には、北半球に、まっすぐな細い帯がみえます。科学者たちは、それはおそらく強い嵐かあるいは大嵐がいくつもつながったもので、それが東から西へと72000kmものびているのだと考えています。この長さは、なんと地球から月までの5分の1にもなります!
この嵐を紫外線で見てもほとんどわかりませんが、可視光でみると暗かっ色に見えます(ブラウン・バージ)。赤外線でとった画像で木星を見ると、 “ブラウン・バージ”からはなれた下のほうに、熱い所、ホットスポットが大きく白く4つ見えます。天文学者たちはNASAのジュノー探査機が観測した、木星の雷(かみなり)が出す赤外線のデーターを使って、そのあたりの雲のようすを研究したのです。すごいでしょ?
(訳者注:リンク先の画像をクリックしてみてください。ホットスポットが4つ白く見えます)
上の画像は、左から、木星を赤外線、可視光、紫外線の3つのちがったタイプの光で観測したものです。
画像提供:ジェミニ天文台、アメリカ科学財団の国立光学赤外線天文学研究所(NOIRLab)、全米科学財団(NSF)AURA(全米天文学大学連合)、NASA、ESA、M.H. ウォンとI. de ペイター (カリフォルニア大学バークレー校)、他.
木星はほんとうに大きな惑星です。そのほかの太陽系の惑星を全部あわせても、その重さは2倍もあります。でもその大きさににあわず、木星の1日はほかの惑星とくらべると一番短いのです。一周クルッと自転するのは、たったの10時間ほどなんです!