おどろきのガンマ線バーストを観測
2022年12月12日

天文学者は、バースト時間が2秒より長いロングガンマ線バーストの「オマケ映像」を研究しているときに、中性子星(ちゅうせいしせい)がぶつかりあうことで引き起こされた巨大なばく発であるキロノバのおどろくべき手がかりを初めて発見しました。

しかし、なぜこのキロノバの発見が意外なのでしょうか? 別々の2チームの天文学者たちが、どのようにしておどろくべき同じ結果を発見したのでしょうか? さあ、何がわかったのか見てみましょう!

ガンマ線バーストは、宇宙でもっとも強力な「花火」のようなものです。ガンマ線バーストはふつう、きわめて遠くはなれた初期の宇宙で作られるため、これらのバーストからの光はたいへん暗く、60億年以上かかって地球に届くのをとらえるのがむずかしくて、これまでこれを研究することは不可能でした。

2021年、NASAの望遠鏡は、ガンマ線バーストとしてはわずか約10億光年しかはなれていない、私たちの地球にたいへん近いところで、GRB 211211A と名付けられた強力なバーストを検知しました。そして、天文学者がこの新しく発見されたロングガンマ線バーストをたいへんくわしく研究できるようになりました。

ロングガンマ線バーストは主に、少なくとも太陽の10倍の重さを持つ大質量星が超(ちょう)新星としてばく発するときに発生します。一方、ショートガンマ線バーストは、中性子星 (または中性子星とブラックホール) などの2つのコンパクトな天体がぶつかってキロノバを作るときに発生します。1分間続く超新星とは異なり、キロノバはわずか2秒しか続きません。

ハワイでジェミニ北望遠鏡を使用しているチームと、南米のチリでジェミニ南望遠鏡を使用している別のチームは、GRB 211211A がロングガンマ線バーストなので、超新星が原因だろうと予想し、その超新星を探そうとしました。おどろいたことに、それぞれのチームが、ロングガンマガンマ線バーストが発生したのと同じ場所で、ショートガンマ線バーストにみられるキロノバのユニークな特長である近赤外線の残光を観測しました。この発見は、ガンマ線バーストの「起源の話」について理解すべきことがまだあることを示しています。

まだ何かあるかって? キロノバのとびぬけた条件は、金、プラチナ、トリウムなどの重元素を作り、天文学者にこれらのヘリウムより重い元素が宇宙でどのように作られるかを研究する新しい方法を教えてくれるのです。 

画像提供:このイラストは、ぶつかりあう2つの中性子星によって作られるキロノバをえがいたものです。ロングガンマ線バーストの余波を研究しているときに、ハワイのジェミニ北望遠鏡とチリのジェミニ南望遠鏡を使用している2つの独立した天文学者チームが、キロノバの予想外の特長を明らかにしました。
版権: 米国立光学赤外線天文学研究所(NOIRLab)米国科学財団(NSF)全米天文学大学連合(AURA) /J. ダ・シルバ/スペースエンジン

知っ得ダネ

南北ジェミニ望遠鏡は、電磁波の一種である近赤外線でこのキロノバを検出した最初の望遠鏡となりました。キロノバから放出された金属のような重元素は、可視光線をさえぎりますが、はるかに長い波長の赤外線を通過させます。これらの波長のキロノバを検出できるのは、ジェミニ望遠鏡のような感度の高い望遠鏡だけなのです。

This Space Scoop is based on a Press Release from NOIRLab .
NOIRLab
写真

もっと知りたい方へ

スペース・スクープとは何?

天文学の発見

つぎの宇宙探検家を励ますこと

スペース・スクープのなかまたち

お問い合わせ