セロトロロ汎米天文台は、南アメリカ大陸の標高2000メートルをこえるセロトロロの山頂にある天文台で、いくつもの国際的な天体望遠鏡が設置された施設です。この場所は、南半球の素晴らしい澄(す)んだ夜空が見られるため、ダークエネルギーカメラは南半球から見える銀河面をとてもくわしく観測することができるのです。
みなさん、晴れた夜空の星を数えようとしたことがありますか? 明るい天体をいくつ数えられますか? チリのセロトロロ汎米(はんべい)天文台 (CTIO) にあるダークエネルギーカメラ (DECam)は、地球の南半球から見える天の川銀河(銀河系)を、これまでで一番くわしく写真にすることができました。そして天文学者たちはすぐに、なんと33億2000万個の天体データをカタログとして公開しました。これまでに作成された最大の天の川銀河のカタログです。
天の川銀河は、数千億の星でできているうず巻き銀河です。そこには新しい星ができている明るい部分と、ガスやチリの厚い雲でできた暗い部分があります。人工の光によってよごされていない(光害/ひかりがいのない)すんだ夜空をみると、黒い画用紙に、白い線をハケで太く引いたように、天の川が夜空を横切る明るいのびた帯として見えます。この白い帯は、天の川銀河のほとんどの星やチリが集まっている円ばんの、うずのうでのようなところです。上の画像の白く明るいところはその一部を拡大したものです。
天文学者たちは、天の川銀河の円ばんを横から見て星やそのほかの天体を観察することは非常に難しいと感じています。なぜならば、チリでできた暗い雲がほかの星からの光を「食いつくす」(吸収する)可能性があるからです。またときには星雲のようなほかの明るい天体から出た光が、星からの光と混ざることもあります。そして場合によっては星と星がおたがいにとても近よった画像として観測されるので、それぞれを別な星として区別することが不可能なこともあるのです。
しかし、ダークエネルギーカメラが天文学者の助けとして登場しました。このカメラは米国国立科学財団(NSF)の国立光学赤外線天文学研究所(NOIRLab)により、セロトロロ汎米天文台のブランコ4メートル望遠鏡にとりつけられ、南半球の空を目に見える可視光線と、目では見えない近赤外線の観測をしました。そして2年間にわたり天の川をくまなく調べ、その結果、なんと10テラバイトというデジタルカメラ写真250万枚分もの量のデータをうみだし、約33億2000万個の天体1つ1つを区別して数えたのです。この数は世界総人口のおよそ半分にもなります!
今回は、ダークエネルギーカメラによるくわしい天の川調査の2回めの結果データの公開ですが、天文学者たちはこの調査によって開かれる今後の豊かな研究の可能性にとても期待しています。たとえば天の川にあるチリの3次元(3D)構造をくわしい地図として描くことができるのです。
画像提供: 天の川銀河面の新しい調査データには、33億2000 万の天体がふくまれています。これはこれまでで最大のカタログです。このデータは、NOIRLabのプログラムであるチリのNSFセロトロロ汎米天文台のダークエネルギーカメラで撮影されました。
クレジット: DECaPS2/DOE/FNAL/DECam/CTIO/NOIRLab/NSF/AURA 画像処理: M. Zamani & D.de Martin (NSF'NOIRLab)
セロトロロ汎米天文台は、南アメリカ大陸の標高2000メートルをこえるセロトロロの山頂にある天文台で、いくつもの国際的な天体望遠鏡が設置された施設です。この場所は、南半球の素晴らしい澄(す)んだ夜空が見られるため、ダークエネルギーカメラは南半球から見える銀河面をとてもくわしく観測することができるのです。