今回、こう星からやってきた花火のような、低いエネルギーの長く続くふきだしは100日間続きました。天文学者は、この時ふき出たものは水素であり、その重さは地球の33倍だったと計算しました。また、そのほかにふき出た細かいつぶの重さは、地球の3分の1でした。さらに研究チームは、このZTF SLRN-2020という出来事が起きた親星の重さは太陽のほぼ2倍であり、飲みこまれた惑星の重さは、木星の10倍になるかもしれないと計算しています。
天文学者たちは、太陽とおなじような星が、死にかかるとき、自分の周りの惑星(わくせい)をのみこんでいるという、確かな証こを初めて見つけました。研究者たちは南米チリにあるアメリカ科学財団の国立光学赤外線天文学研究所のジェミニ南望遠鏡を使い、ある星からやってくる光が急に明るくなり、そのまましばらく明るいまま続くのを観察したのです。これは惑星が、その親星の表面近くの熱い大気の中を、まるで泳いでいるかのような状態になっていることを、はっきりと示しています。
今回の、とつぜん増えた光がそのまま少し長く続いた星は、銀河系の中、地球からおよそ13,000光年はなれたところにある星です。ではなぜ私たちの惑星(水星や金星、そして地球も!)は、心配するべきなのでしょうか? 確認してみましょう。
太陽のような星は、その中心のお腹みたいな、ぎっしりとつまって高温の中心部(核/かく)で、水素という原子どうしが合体してヘリウムという原子に変わる反応(核ゆう合反応/かくゆうごうはんのう)で成長します。この内部の核ゆう合反応が大量のエネルギーを出すおかげで、外側の層(そう)の重さにつぶれず、星として安定しています。お腹の中で水素がなくなると、水素の核ゆう合反応はだんだん中心から星の外側の層に移ってきます。すると外側の層はかがやきを増し、ふくれ上がり大きくなってきます。また、中心にできたヘリウムは、今度は核ゆう合反応によって炭素という原子に変わってきます。そして最終的に星は以前より温度が低くて大きな赤色巨星(せきしょくきょせい)に変わってしまい、一生を終えます。
およそあと50億年もすると、私たちの太陽も赤色巨星になります。太陽は私たちの親星ですが、死ぬ時にはとても大きくなり、太陽の子どもとも言える近くにある惑星を飲みこんでしまいます。もちろん地球もです! このような親子の星のドラマチックな最後の出会いでは、エネルギーや物質が特別な出かたをし、惑星はそのまわっていたコースからはずれ、親星へと落ちていきます。今回、天文学者たちは、そんな出来事を初めてライブ(生中継/なまちゅうけい)でとらえたのです。
この天文学者が目げきした出来事(ZTF SLRN-2020)のような、惑星が親星に飲み込まれていくときに変化した光などのエネルギーと、親星の周りのかがやくフレアや内部からふき出るコロナからのエネルギーとを区別することは、実際にはかなり難しいことです。しかし今回、ジェミニ南望遠鏡の光学技術のおかげで、研究者たちは目の前で起きている不思議なようすが、実際に“惑星飲みこみ”によるものだと確認することができました。
今回、その区別がはっきりできたので、宇宙での同じような出来事を探すのに、今までより進んだ方法を使うことができます。それによって今まで分からなかったことが明らかになり、実際に太陽系のような惑星系が最後の段階でどうなるか、いっそう理解が進むにちがいありません。
画像説明:親星がその惑星の1つを飲みこむ想像図。こういう出来事の初めの段階は、その惑星が親星の表面にそって泳ぐように進んでいて起こるものです。
画像提供:国際ジェミニ天文台/アメリカ科学財団の国立光学赤外線天文学研究所/全米科学財団/全米天文学大学連合/M.Garlick/M.Zamani
今回、こう星からやってきた花火のような、低いエネルギーの長く続くふきだしは100日間続きました。天文学者は、この時ふき出たものは水素であり、その重さは地球の33倍だったと計算しました。また、そのほかにふき出た細かいつぶの重さは、地球の3分の1でした。さらに研究チームは、このZTF SLRN-2020という出来事が起きた親星の重さは太陽のほぼ2倍であり、飲みこまれた惑星の重さは、木星の10倍になるかもしれないと計算しています。
この記事は、アメリカ科学財団の国立光学赤外線天文学研究所(NOIRLab)の報道発表によります。