これは、初代星がとても重かった証こをこれまでで一番はっきりととらえた、重要な発見です。宇宙で最初に生まれた星の中には、太陽の140倍という、大質量星があったという理論が正しいことを示しています。
日本と中国の研究チームは、天の川銀河のはしっこにある、変わったこう星を発見しました。どんな原子が混ざっているか化学組成をくわしく調べたところ、この星は銀河にかくれていた宝物ではないかもと考えています。この星は、宇宙で最初に生まれた星の「子供」なのでしょうか?調べてみましょう!
ビッグバンから数十万年たったころ、まだ星は生まれておらず、宇宙は冷たく暗い場所でした。そして、水素とヘリウムガスだけでほかの元素はありませんでした。それから数億年たつと、ガスのこい部分が自分の重力でつぶれはじめ、宇宙で最初の星と銀河が生まれました。
「種族III(しゅぞくさん)」ともよばれる宇宙で最初に生まれた星「初代星(しょだいせい)」の中には、太陽の100倍以上ものとても重い星(大質量星)があったと考えられます。きょ大な星は短時間しか生きられず、みんなばく発していなくなっているでしょうから、もっと研究したくても手がかりが残っていないかもしれません。でも、ばく発でふき飛ばされたガスを調べることで、初代星の手がかりをたどれると天文学者は考えています。
重い初代星がばく発した時にふき飛ばしたガスは、次の世代の星に取りこまれている可能性があります。ちょうど私たちが先祖の遺伝子(いでんし)を受けついでいるように、第2世代の星は、初代星の化学組成をそのまま受けついでいるのです。しかし、現在の宇宙で見られるほとんどの星では、もっと後の世代の星がちょう新星ばく発を起こした時にまき散らしたガスが混ざってしまい、初代星が残した化学組成ではなくなっていると考えられます。そのため、天文学者はこれまでずっと、現在残っている最も古い星を探して続けていましたが、残念ながら見つけられませんでした。
中国の探査望遠鏡 LAMOST(ラモスト)を使って天の川銀河の中にある最も古い星を探したところ、LAMOST J101051.9+235850.2という変わった星が見つかりました。地球から3000光年はなれた、しし座の方向にある、太陽より少し軽い星です。ハワイにある日本の国立天文台のすばる望遠鏡を使って、この星の化学組成をくわしく調べたところ、とても重い初代星の情報を受けついでいることがわかりました。
画像:SDSS(スローン・デジタル・スカイ・サーベイ)望遠鏡がとらえた、LAMOST J101051.9+235850.2の可視光線の画像。(クレジット:SDSS/NAOJ)
これは、初代星がとても重かった証こをこれまでで一番はっきりととらえた、重要な発見です。宇宙で最初に生まれた星の中には、太陽の140倍という、大質量星があったという理論が正しいことを示しています。
この記事は日本の国立天文台からの報道発表によっています。