銀河団の中で大きく成長したと思われる楕円銀河には、宇宙で最も古い星がふくまれていることをご存じですか?巨大楕円銀河の起源は、天文学者たちにとっても大いなる謎(なぞ)なのです。
みなさんは家系図を作ったことがありますか?あなたの生まれた家族の歴史をたどるのは楽しいかもしれませんね。あなたの家族について、おもしろいことを見つけられるように時間をたどるようなものです。ところで、私たちが住む天の川銀河(銀河系)がどのように作られ、成長してきたのかをたどるとどうなるか、想像してみてください。
国際的な研究者のチームは、ハワイにある日本の国立天文台のすばる望遠鏡を使って、私たちの宇宙の特別な場所であるスパイダーウェブ原始銀河団を研究しています。この銀河団は、100億年以上前の私たちの宇宙がはるかに若いころにできはじめた、巨(きょ)大な銀河がいっぱい集まった「宇宙の都市」のようなところです。
すばる望遠鏡のチームは10年以上にわたって超(ちょう)銀河団を研究してきました。この原始銀河団の中にはまだまださかんに星形成している銀河もあるし、別の銀河は星の形成を完全に停止しているように見える銀河もあることを発見しました。中には星を作っていない巨大な楕(だ)円銀河に成長し始めたものもあります。研究チームによると、スパイダーウェブ原始銀河団にある巨大銀河の約半分が超巨大ブラックホールを持っていることもわかってきました。「毎日ごはんをいっぱい食べないと、本当にはらぺこなんだよ」と、超巨大ブラックホールのひとつがつぶやいています。
さて、この発見により、研究チームには、新たな謎(なぞ)が生まれました。ブラックホールの食事とこれらの銀河の星の形成の間に関連性があるでしょうか?このパズルを解くために、研究者は重要なデータをふくむ銀河のくわしい地図を必要としていました。ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は、「さあ、くわしく調べるならまかせて」と呼びかけました。これで準備完了です!
JWSTでくわしい宇宙地図を作って、ブラックホールと星ができている場所を分けて見ることにより、研究チームは活発な超巨大ブラックホールを持つ銀河が新しい星の形成を停止し、はらぺこビッグブラックホールのない銀河がまだ新しい星を形成していることを発見しました。ついに、すばる望遠鏡とJWST がハイタッチしたのです!
画像:NASAのJWSTの撮影(さつえい)したスパイダーウェブ原始銀河団
クレジット:早稲田大学の嶋川里澄(しまかわ りずむ)准教授 他
銀河団の中で大きく成長したと思われる楕円銀河には、宇宙で最も古い星がふくまれていることをご存じですか?巨大楕円銀河の起源は、天文学者たちにとっても大いなる謎(なぞ)なのです。