もう少しのところで地球をかすめた宇宙岩石
2025年5月7日

 2024年12月27日、まるでホッケーのパックのような、平たい円筒形の小わく星が地球に近づきました。地球の小わく星追跡(ついせき)システムは、ぶつかるかもしれないと、警ほうを鳴らしました。

 地球の近くを通る小わく星は、地球近傍(きんぼう)小わく星といいます。その1つで今では有名になった 2024 YR4 を紹介(しょうかい)します!

 火星と木星の軌道(きどう)の間には、小わく星帯として知られる数百万個もの岩石が、帯のように広がっています。これらの岩石は、時々、木星の重力によって太陽系の内側へと飛ばされます。そういう小わく星が太陽に向かう途中で地球の近くを通りぬけるとき、地球や月にぶつかる危険が常に存在します。

 2024年のこと、小わく星 2024 YR4 は、地球と月の距離(きょり)のおよそ7倍、約250万キロメートルまで地球に近づきました。天文学者たちはその軌道(きどう)を調べて、2024 YR4は火星と木星の間に広がる小わく星帯からやって来たはずだと考えています。

 天文学者たちは、地球に接近する可能性のある宇宙の天体をいつも監視(かんし)しています。2024 YR4の軌道についてのくわしい観測から、この小わく星は地球にぶつかることはないとわかりましたが、科学者たちは月へぶつかる可能性はまだ残っていると考えています。

 天文学者チームは、チリにあるジェミニ南望遠鏡を用いて、2024 YR4の起源と特ちょうを解明するため、よりくわしい観測を開始しました。その結果、2024 YR4が地球の岩石と組成がにているS型小わく星であることがわかりました。その幅(はば)は、約30~65メートルで、ちょうど家一けんほどの大きさです。また、この小わく星は高速で自転しており、1回転するのに約20分しかかからないこともわかりましました。

 地球近傍小惑星の起源を調べ、その性質を理解することは、宇宙にあるそのような天体が、その軌道上で地球や他の天体と衝突(しょうとつ)するかどうかを考える上で欠かすことができません。ジェミニ望遠鏡のような強力な望遠鏡のおかげで、地球は今後起きるかもしれない衝突から守られているのです。

画像:チリのジェミニ南望遠鏡で撮影された小惑星2024 YR4の合成画像。
出典:国際ジェミニ天文台/米国国立光学赤外線天文学研究所(NOIRLab)/米国国立科学財団 (NSF)/全米天文学大学連合 (AURA)/マディ・ザマニ氏

知っ得ダネ

 地球近傍小惑星2024 YR4は、近年発見された月への衝突の可能性がある天体のなかでは最大のものであることを知っていましたか?

This Space Scoop is based on a Press Release from NOIRLab .
NOIRLab

この記事は、アメリカの国立光学赤外線天文学研究所(NOIRLab)の報道発表によります。

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