二つの銀河の合体は、じつはクエーサーにエネルギーを与えているんです!おたがいに何度もすれちがうたびに物質はどんどん超巨大なブラックホールに吸い込まれていき、それを燃料にクエーサーのビームはますます強力になるのです。
銀河たちはずっと昔から、おたがいの重力で引き合って宇宙のダンスフロアで壮大(そうだい)なダンスをくりひろげてきました。自分でくるくる回ったり飛んだり、相手をふり回したりしながらだんだん近づいていき、ついにはくっついてまざりあい一つの大きな銀河になります。これは銀河合体とよばれています。
最近ある一組の宇宙のダンサー(銀河)たちが天文学者の注意をひきました。かなり危険なダンスなので「宇宙の銀河バトル」と呼んでいます。二つの銀河は決闘(けっとう)をしている騎士(きし)のように向かい合い、そのうちのひとつは非常に強い光の剣で相手をねらっています。スーパーパワフルなこの光はそれと同じくらい超強力なあるところから出ています。
この強力なエネルギーを出しているのは、銀河の中心にある巨大ブラックホールです。まわりの物質を大量にのみこんでは強力な光としてはきだしているのです。この明るい輝きはクエーサーと呼ばれていて、あまりにも強力なエネルギーを持っているので、どんなものでもさわったとたんに破壊(はかい)されてしまいます。
このバトルを観察してわかったのは、クエーサーの剣の先にうっかりまわったらどんなひどい目に合うかってことです。クエーサーの非常に強い光は銀河の中のガスやチリをつきぬけ、物質の雲をけちらして進みます。銀河の中でもっとも小さくて密度の高い部分だけが何とか生き残ることができますが、バトルの後にはもう銀河には新しい星を育てる「星の保育園」をつくるためのエネルギーは残っていません。たくさんの星が作られないでしょうから、この銀河は将来、そんなに明るく輝くことはないでしょう。
クエーサーの非常に強い光が相手の銀河に与える影響を調べるために、研究者たちは一つではなく二つもの高性能の望遠鏡を使いました。ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡(VLT)とチリのアタカマ砂漠(さばく)にあるアルマ望遠鏡(ALMA)です。
銀河合体やクエーサーの爆発(ばくはつ)などの大きな事件の後にどんな影響があったのかを調べると、長くて複雑な銀河の歴史がわかります。望遠鏡がさらに大きくより良くなるにつれて、もっと深くこのような歴史のシナリオを知ることができるでしょう。もしかするとさらにたくさんのバトル中の銀河が発見されて、大きなバトル大会が開かれるかもしれません!
画像:バトルをしている銀河の想像図。右の銀河の中央にはクエーサーがあり非常に強い光を左の銀河に放っており、ガスやチリの物質がけちらされすきまができている。
クレジット:ヨーロッパ南天天文台(ESO)/M. Kornmesser
二つの銀河の合体は、じつはクエーサーにエネルギーを与えているんです!おたがいに何度もすれちがうたびに物質はどんどん超巨大なブラックホールに吸い込まれていき、それを燃料にクエーサーのビームはますます強力になるのです。
この記事はヨーロッパ南天天文台(ESO)の報道発表によります