巨大な宇宙の虫メガネで赤ちゃん星発見
2014年8月27日

  小説に出てくる名探ていシャーロックホームズは、いつも虫メガネを持っていて、小さくてほとんど見えない、しかし、事件解決のための決め手となる証拠(しょうこ)を発見しようとしています。

  それと同じように、天文学者たちも宇宙のすがたをよりよく理解しようと、いつもレンズを使っています。望遠鏡という名のレンズです。

  そんな中で、本当にたまにですが、天文学者たちは宇宙の特別な現象にであうことがあります。それは自然にできる宇宙の虫メガネで、これを使うと宇宙のことがよくわかるのです。この特別な現象のおかげで、あまりにも遠くてほかの方法では見ることができない天体を、私たちは見ることができるのです。

  アルバート・アインシュタインは、宇宙にこのような虫メガネが存在すると予言した最初の人です。彼は、光はいつでもまっすぐに進むわけではなく、とても強い重力の天体のそばでは曲がって通ると言いました。これは望遠鏡の中のガラスのレンズが、光を曲げて焦点を結ぶのと似ています。

  今では、アインシュタインの予言は正しかったと考えられています。非常に大きな構造の天体、例えば銀河や銀河団といったものは、それらの向こうにある天体からやってくる光を強力な重力で曲げてしまいます。このような現象を「重力レンズ」といいます。

  お手軽な、銀河サイズの巨大な虫メガネ、そして12基の天体望遠鏡をありがたく使って、天文学者たちはシャーロックホームズとおなじように仕事をしています。よく見えるようになった力をもとにして、彼らは、ちょっと説明のしにくかった変な形の天体について、新しい情報を集めています。

  彼らはその変な形の天体は、ずっと昔に起こった2つの銀河どうしの、とてつもない衝突の結果だということを発見しました。今でもあなたの目の前で、この2つの銀河はぶつかりあい一緒になっているので、そのぶつかってできる衝撃波(しょうげきは)は、たくさんの新しい星の誕生を引き起こしています。そのようすがこの写真です。

知っ得ダネ

  この写真、なんでこんなにぼやけているか不思議ですね。その理由は、これらの銀河がとってもとっても遠いところにあるからなのです。この銀河の衝突が起こったのは70億年前で、まだ宇宙は今の年齢の半分だった時のことです。その時からずうっと、これらの銀河の光は宇宙を旅してきました。そして今、この画像になったのです。

This Space Scoop is based on a Press Release from ESO .
ESO
写真
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