HD131399abは、木星の4倍ほどの巨大な星で、中心の星の周りを1周するには、地球の時間にすると550年かかります。
さぁ、一つの季節が100年以上も続き、自分の影が同時に3つもできる世界を想像してみてください。
そんな世界、それは最近発見された系外惑星のHD 131399abが、まさにそんな惑星です! (系外惑星は、遠く太陽系の外にある星を周回する惑星です)
この奇妙(きみょう)な新しい世界は、3つの星が組み合わさってまわる三重連星系の中の1つの星の周りを回っている惑星として発見されました。この惑星の中心となる星は、ほかの2つの星と連動して回っています。そのためにこの惑星での日の出や日の入りは特別なものになります。あるときは太陽が1つだけ空にのぼり、またあるときは2つか3つ太陽がのぼるのです!
しかし、このような特ちょうがあっても、この惑星が特別にユニークだというわけではありません。ほとんどの惑星は、2つの星が組になっている二重連星や、時には3つの星が組になる三重連星のうちの1つの星の周りを回っているからです。何がこの新しい世界の発見で特別だったかというと、それは天文学者たちがこの惑星を直接写真に撮ったということなのです。
遠くの星を回っている系外惑星は、今までに3,000こ以上発見されていますが、そのうち直接撮影されたのは50こ以下です。遠くの星の周りを回っている小さな惑星を写真で特定することは、真昼の太陽の前を横切る一匹の蚊(か)を見つけようとするのににています。
残念なことに、この風変わりな世界は、長くは続かないようです。
三重連星系の中にある惑星が存在するためには、微妙なバランスが必要です。この惑星の現在の軌道は、大ざっぱに考えて私たちの太陽の周りを回る冥王星(めいおうせい)の軌道の2倍ほどですが、この惑星は、この連星系の非常に不安定な領域にちょっと近づきすぎるコースに進んでいるのです。そこは、残りの2つの星がお互いに回りあって動いている軌道なのです。
そのため、おそらくこの惑星の運命は、いくつか考えられる悲惨な運命のどれかになることでしょう。たとえば恒星の1つに突進して燃えつきるとか、恒星にはじき飛ばされて、はてしない暗い宇宙の中で永遠にさまようことになると思われます。
HD131399abは、木星の4倍ほどの巨大な星で、中心の星の周りを1周するには、地球の時間にすると550年かかります。
この記事は、ESOからの記者発表にもとづいています。