この輪の形をした銀河(環状銀河)の中のピンクに色づけられた大きなかたまりは、 "超大型ブラックホール"です。このようなリングのなかにあるブラックホールは、ほとんどの場合、私たちの太陽よりも大きいのですが、ここにある銀河は、何百万倍も巨大なものです!
宇宙には危険がいっぱいです。真っ暗な中を、時速5万キロもの猛(もう)スピードでたくさんの巨大な岩が飛びまわっている小惑星帯もあるし、星のばく発のエネルギーなんて核ばく発の何十億倍どころではありません。しかし、宇宙で一番危険なもの、それはブラックホールです。
ブラックホールという目に見えないモンスターは、宇宙空間のどこかにかくれていて、なんでも近づいたものを文字どおり飲みこもうとしています。ブラックホールは、岩、星、そして光でさえも食べてしまうのです! そんなわけで、ブラックホールがひそんでいるだろう巨大リングを探すなんて、とってもこわいことです。
そんなこわい危険がかくれている銀河が、写真の右側に見えます。ブラックホールがいくつか、銀河のまわりにある明るい青色とピンク色の帯の中にかくれているのです。
このブラックホールのリングには、物語『ロード・オブ・ザ・リング』の指輪のように人間を支配する力はありません。でもその広がりは天の川銀河の3倍にわたり、本当にリングの王様です!
このリングは1つの銀河がほかの銀河へつっこんだ時にできました。はげしい衝突(しょうとつ)によって、すごいエネルギーが銀河の中を伝わり、ガスなど辺りの物質を外側へと押しだしたのです。そしてこの広がっていくガスのリングを宇宙に作りだしたのです。また銀河の衝突は新しい星が生まれるきっかけにもなり、生まれた星のいくつかは後にブラックホールになりました。
しかし、ブラックホールは光を吸いこむので、私たちには見えません。それではどうやってブラックホールのある場所を見つけたのでしょう?
この写真でピンクに色づけられたしみは、強いX線を出しているところをあらわしています。肉眼ではX線を見ることはできませんが、写真に写る望遠鏡をつくったのです。
この写真に写っているものすごく明るいX線は、近くにいる伴星(ばんせい)から物質をせっせと吸いとっている最中の、ブラックホール(または超高密度中性子星)から出てきています。
伴星からの物質がブラックホールに向かって落ちていくと、水が穴に流れこむ時のように回転するうずができて、円ばんの形になります。この円ばんはとても高温になり、大量のX線を出します。
でも心配しなくてもだいじょうぶ。この銀河とブラックホールは、私たちからおよそ3億光年離(はな)れています。ブラックホールは単に私たちにとって危険でないというだけではありません。この発見は、銀河が衝突したときにどんなことが起こるのかを知るのに、とっても役立つのです!
この輪の形をした銀河(環状銀河)の中のピンクに色づけられた大きなかたまりは、 "超大型ブラックホール"です。このようなリングのなかにあるブラックホールは、ほとんどの場合、私たちの太陽よりも大きいのですが、ここにある銀河は、何百万倍も巨大なものです!