この写真に写っているのは、M17というガスとチリにおおわれた星が生まれている現場です。私達の太陽系全体の3500倍も広い場所が写っています。
おいしいケーキを焼くのに、小麦粉や砂糖などの材料が欠かせません。同じように宇宙では、星(恒星:こうせい)をつくるのにチリは欠かせないのです!
星にとって一番重要な材料は、何といっても生まれた後、燃料となるガスです。
チリは星の燃料ではありませんが、ないところでは星が生まれないのです。なぜって、ガスとチリがとてもこくなったところからしか、星は生まれないのですから。「かくれた主役」がケーキをふくらませるように、チリも星ができる手助けをしているのです。
星が生まれる場所のガスやチリをもっと理解するため、日本の天文学者は太陽系の近くにあって、太陽よりも大きな星が生まれている3つのガス雲のくわしい地図を新しく作りました。その中にはいて座の方向にあるM17(エムじゅーなな)とよばれる雲もふくまれます。この「星形成(ほしけいせい)プロジェクト」とよばれる地図作りのおかげで、星の生まれ方がもっと良くわかるようになるでしょう。
望遠鏡を使うと、私たちの目で見えないものが見えることがあります。宇宙のあちこちに、ぶあついチリの雲の後ろにかくれている銀河があり、そこからの光はチリにブロックされて、私達の目が感じる光では見ることができません。このような銀河の地図を作るには、特別に、電波(でんぱ)という目に見えない「光」で観測します。電波は目に見える光—可視光線(かしこうせん)といいます—はさえぎられてしまうようなこいガスも通りぬけて、地球の望遠鏡までやって来るすごい能力を持っています。そのため、ガスやチリにおおわれた場所をくまなく調べるのには電波望遠鏡を使うのがぴったりです。
画像提供:NASA, Holland Ford (JHU), the ACS Science Team and ESA
この写真に写っているのは、M17というガスとチリにおおわれた星が生まれている現場です。私達の太陽系全体の3500倍も広い場所が写っています。
この記事は、日本の国立天文台からの報道発表によっています。