近いうちに打ち上げられるジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、ビッグバンから約2億5000万年の後に、宇宙がどのように現れたかを研究することができるようになります!
地球で一番初めの生物がどのようなものであるかを研究するとき、古生物学者たちは、とても古い岩石の中に化石を探します。生命の歴史の中では、ある特定の動物とか植物は、決まった時代の岩石の中に発見されるからです。これとよく似たことですが、天文学者たちは非常に遠い、最も遠方にある銀河を研究して、最も初期の星を見つけようとします。
現在の天文学では、宇宙で最初にできた銀河を調べようとすると、わからないことだらけです。最初の星や銀河が、いったい、いつ、どのようにしてできたのか、私たちにはまだわかっていません。しかし、今回発表されたハッブル宇宙望遠鏡による新しい研究結果は、宇宙で初めての星や銀河は、今まで天文学者たちが考えていたよりも、もっと早い時期に形づくられたことを示しています。
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ヨーロッパの天文学者チームが、ビッグバンからいくらも経たない“初期”の宇宙はどのような様子だったか、さらに研究を深めることにしました。そのために、初期にはあったはずだけれど、現在では見つかっていない、「種族Ⅲの星」と名づけられた星を探すことにしたのです。天文学者たちは宇宙で最初にできた星はこのタイプだと信じているので、遠方を観測すると見える初期の宇宙の姿の中に、それらを探し始めたのです。ある銀河の中に種族Ⅲの星が見つかれば、それは、その銀河が非常に若い、宇宙誕生の初期にできた銀河だということが強く示されます。これは、古生物学者が、地球で最初の生物の化石を、古い岩石の中に探す方法とよく似ています。
研究チームは、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影(さつえい)した、遠方の、つまり初期の宇宙の写真の中に、種族Ⅲの星をけんめいに探しました。それらの写真には、宇宙がおよそ5億才から10億才のころの、たくさんの銀河のようすが写っています。この数字は大きな数ですが、それでも、現在の宇宙の年令が138億才だということを考えると、まだまだ宇宙の初めの段階です。そして天文学者たちは、そこに写っている銀河は、そのころ形づくられたばかりのものであると予想していました。しかし、おどろいたことに、研究の結果は、初期の星、つまり種族Ⅲの星は1つも見つけられませんでした。その若い銀河の中にあった星たちは、どれも後の世代の星でした。そして、それ以前の種族Ⅲの星は、もうすでに無かったのです。この結果から考えると、宇宙の最初の星や銀河は、天文学者たちが考えていたよりも、もっと早い時期にできていたようです。
宇宙で最初の星や銀河が実際にできたのはいつか。このことをさらに知るために、天文学者たちは初期の宇宙を、もっとよく見られる日がくるのを心待ちにしています。近いうちに予定されている、ハッブル宇宙望遠鏡の後をつぐジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、宇宙をより遠方まで観測でき、宇宙の歴史をより深く調べることができることでしょう。
画像提供:ESA /ハッブル、M.コーンメッサー
近いうちに打ち上げられるジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、ビッグバンから約2億5000万年の後に、宇宙がどのように現れたかを研究することができるようになります!