日本のVERAのように、アメリカでは10か所に散らばった電波望遠鏡を組み合わせるVLBAがあります。VLBAは、月の表面にある1円玉をはっきり見られるくらいの視力を持っています。
私たちはふだん、うちの近所や都市の地図から自分がどこにいるのか知りますが、天文学者も宇宙の地図を作っているのです!
天文学者は日本の4か所にある電波望遠鏡を組みあわせて、私たちの地球が天の川銀河の中で、きょ大なブラックホールがある中心からどのくらいはなれているのか、とても正確な場所を知りました。
大きな望遠鏡で、正確に測る
地球は天の川銀河の中にあり、私たちは外から銀河の様子を見ることができません。そのため、銀河の中から天体の位置や動きを測り、銀河全体の構造や私たちがいる場所を知る方法が重要になります。
国立天文台のVERA(ベラ)プロジェクトは、岩手県の水沢(みずさわ)、鹿児島県の入来(いりき)、東京都の小笠原(おがさわら)、沖縄県の石垣島(いしがきじま)にある4つの電波望遠鏡を使って「VLBI: 超長基線電波干渉計(ちょうちょうきせんでんぱかんしょうけい)」という特別な技術で宇宙を調べます。この技術を使うと、日本の4か所に散らばった望遠鏡の観測データを組み合わせ、まるで日本全体とほぼ同じ大きさ、直径2300キロメートルの巨大な電波望遠鏡で観測したかのような、正確な天体の位置情報を得られるのです。
新しい地図
VERAが作った地図から、天文学者は銀河中心までのきょりを求めました。私たちの太陽系やほかの天体は、超大質量(ちょうだいしつりょう)ブラックホールがある銀河中心の周りを回っています。太陽系から銀河中心までのきょりが、2万5800光年だと決まりました。これは、1985年から使われていた2万7700光年より短くなっています。さらに、太陽系が銀河中心の周りを回る速度は、秒速227キロメートルだと正確に決まりました。この速度は、いなずまが空気中を切りさいて進むより速いです。
太陽系はこれまで思っていたより、銀河中心の超大質量ブラックホールから近いということですが、ご心配なく。太陽系がブラックホールに向かって落ちていくという意味ではありません。そうではなく、私たちの住む天の川銀河の地図が、新しくもっと正確にえがかれたということなのです。
VERAは、天の川銀河にある、もっとたくさんの天体、特に超大質量ブラックホールに近い天体の動きを調べたいと思っています。そうすることで、天の川銀河の構造や運動がもっと正確にわかるでしょう。
画像提供:NASA/JPL-Caltech/ESO/R. Hurt
日本のVERAのように、アメリカでは10か所に散らばった電波望遠鏡を組み合わせるVLBAがあります。VLBAは、月の表面にある1円玉をはっきり見られるくらいの視力を持っています。
この記事は、日本の国立天文台からの報道発表によっています。