科学者たちは日本のすばる望遠鏡を使って、昔の宇宙にある古い超巨大ブラックホールを探し、100個以上発見してきました。このデータのおかげで、アルマ望遠鏡をどこに向ければ銀河風が見つかるかわかっていたのです。
はるか昔、131憶年前、超巨大ブラックホールがぼう大な量の銀河風(ぎんがふう)をはきだし、ものすごく強い風で星の材料となる物質、星間物質をふきとばしました。宇宙は今ざっと138億才、なのでこれが起こったのはビッグバンからまだ間もないころでした。
天文学者たちはこのことをアルマ望遠鏡を使ってつきとめました。これは今までに見つかったこのタイプの銀河風の中で最も古いものです。ブラックホールが宇宙の始まったころから銀河の成長に大きな影響を与えてきたことを示しています。
多くの大型銀河の中心核には超巨大なブラックホールがかくれています。これらの天体は私たちの太陽の何百万倍、(または何十億倍!)もの重さがあるんです。それでも銀河の中心部分の重さに比べると、その中にあるブラックホールは、たいていずっと軽いものです。この二つの大きさの比率はどのブラックホールの場合もだいたい同じ、つまり銀河が重いほどその中心のブラックホールも重いというのは興味深いですね。
天文学者たちが発見したこの銀河(J1243+0100銀河)の中心部分は太陽30億個分の重さで、その中にある超巨大ブラックホールはその1%くらいの重さです。この重さの比率は私たちが現代の宇宙で観測する若い銀河とブラックホールの比率とほぼ同じです。これほど大きさのちがう二つの天体(銀河とその中のブラックホール)の重さの間にある比率をもとに、天文学者たちは「銀河とブラックホールはいっしょに大きく進化した」と考えています。少なくとも宇宙が10億才より若かった時からはずっと。もしかするとブラックホールと銀河はおたがいに物理的なえいきょうをおよぼしあってきたのかもしれません。
銀河風を調べるとこの物理的えいきょうがどのようなものだったかわかります。超巨大ブラックホールは大量の物質を飲みこみます。この物質がブラックホールの中の強力な重力のせいでとほうもないスピードで回りはじめると、大量のエネルギーをはきだして、物質をブラックホールの外側におし出します。こうして銀河風が起こるのです。
J1243+0100銀河の中心のブラックホールから出る銀河風は天文学者たちがこれまでに発見した中で一番古いものです。前のチャンピオンである130億才の銀河風よりも少なくとも1億年古いんですから!
本当に銀河とブラックホールがともに成長してきたのかを確認するために、天文学者たちはもっとブラックホールからはきだされる銀河風を調べようとしています。私たちの宇宙ができたころどんなようすだったか、わかるかもしれません。
銀河の中心にある超巨大ブラックホールから銀河風がふきだすところの想像図
画像提供:アルマ望遠鏡
国立天文台による日本語サイトあり
科学者たちは日本のすばる望遠鏡を使って、昔の宇宙にある古い超巨大ブラックホールを探し、100個以上発見してきました。このデータのおかげで、アルマ望遠鏡をどこに向ければ銀河風が見つかるかわかっていたのです。
この記事はアルマ望遠鏡と日本の国立天文台の報道発表によります。