アルマ望遠鏡は、アタカマ砂ばくのチャナントール高原に、66台ものアンテナを並べた電波望遠鏡です。さまざまな周波数の電波を観測できるように、いくつかの受信機がありますが、一度の観測ではひとつの受信機しか使えません。今回の新しい技術を使うと、現在別々の受信機を使わないとできない観測が、一度の観測でできるようになるでしょう。そうなったら電波での研究がより早く正確に、効率良くできるようになりますね。
天文学者も、宇宙を調べる時に電波を使うって、知ってました? 電波は目に見えない光の一種です。生活の中では、けいたい電話やテレビなど、遠い場所どうしの通信に使われています。ワイヤレスのゲームコントローラーやパソコンのマウスなどでも、電波のような目に見えない光が使われています。
星やわく星の材料であるガスとチリの雲の中には、様々な種類の分子があります。これらの分子は、それぞれ違った電波を出しています。電波にはいろいろな「周波数(しゅうはすう)」、別の言葉でいえば「波長」があります。一人一人の指紋(しもん)がちがうように、それぞれの分子はちがう周波数の電波を発します。このたび日本の天文学者のチームは、新しいすごい受信機(じゅしんき)を作り上げました。これまでの受信機より、ずっと広い周波数のはん囲の電波を受信でき、一度にいろんな分子から届く電波を観測できるのです。
電波を使って天体を調べることで、星が生まれる雲の温度や密度、化学組成など、物理的、化学的性質がわかります。このような性質を調べることは、どのように星やわく星ができるか、さらには宇宙がどのように進化したかを知る手がかりになります。
ほかの受信機では受けられなかった広い周波数のはん囲を、一度に受けられるこの受信機は、まるで一度に何チャンネルもの番組を同時に見られるテレビのようにすごいのです。日本の大阪府立大学と国立天文台のチームは、苦労して作り上げたこの受信機を、国立天文台 野辺山宇宙電波観測所の中にある、大阪府立大学の1.85メートル電波望遠鏡に取り付けました。その結果、あの美しいオリオン大星雲から届くいろいろな分子の電波を、同時に観測できたのです!
この受信機の重要な点は、この広い周波数のはん囲を受ける技術を、ゆくゆくはアルマ望遠鏡に応用できるということです。アルマ望遠鏡は、南米チリのアタカマ砂ばくで動いている、世界最大級の電波望遠鏡です。
画像:新しい受信機を使って、5種類の電波で同時に観測したオリオン大星雲。 周波数がちがうと、ガスの分布にちがいが見られます。画像提供:大阪府立大学/国立天文台
アルマ望遠鏡は、アタカマ砂ばくのチャナントール高原に、66台ものアンテナを並べた電波望遠鏡です。さまざまな周波数の電波を観測できるように、いくつかの受信機がありますが、一度の観測ではひとつの受信機しか使えません。今回の新しい技術を使うと、現在別々の受信機を使わないとできない観測が、一度の観測でできるようになるでしょう。そうなったら電波での研究がより早く正確に、効率良くできるようになりますね。
この記事はアルマ望遠鏡と、日本の国立天文台からの報道発表によっています。