「Uchuu」という大規模シミュレーションをつくりだすために、研究チームはアテルイIIの全部で 40,200個のCPU(中央演算装置/コンピュータの頭脳)を毎月48時間フルに働かせました。その結果、スーパーコンピュータは2000万時間働き、3ペタバイト(3テラバイトの1000倍)ものデータをつくり出しました。これは1200万画素のけい帯電話でとった写真の 8億9478万4853枚分にもなります。
世界中を探検できるビデオゲーム、知っている? 天文学者たちは今回さらに一歩努力して、だれでも自由に宇宙のどこでも調べることができるようにと、観測された宇宙にそっくりのシミュレーション(模型)をつくりあげました。
世界で一番性能の高い天文学専用スーパーコンピュータ「アテルイII」を使って、日本やスペイン、アメリカ、アルゼンチン、オーストラリア、チリ、フランス、そしてイタリアなどの天文学者チームが、「Uchuu」(宇宙)と名付けたモデルをつくりだしたのです。
「Uchuu」は今までで一番データが大きくて、しかも最も実際に近い宇宙をえがいたシミュレーションです。コンピュータの中で考えられた立方体の中には、2兆個以上の天体がえがかれています。この立方体はとっても大きくて、その一辺は約100億光年分になります。これは地球から観測された一番遠くにある銀河までの約4分の3の距離(きょり)です。
「Uchuu」ができたことによって、天文学者たちは今までに見たことがないようなスケールで、宇宙の大きな構造やその進化をくわしく研究することができます。この本物そっくりの模型により、暗黒物質が銀河の形成や宇宙全体の今後にどのようにかかわっているか、くわしく調べることができるのです。
このモデルでは、それぞれの星やわく星といったところまでは見ることはできません。ですから今のところエイリアンを見つけようなんていいませんが、最も大きな銀河団から最も小さな銀河まで、銀河が集まっているようすを調べることができます。
「Uchuu」は本物のタイムマシンみたいで、とっても遠い過去をふりかえり、時間をとても深くまでさかのぼることができます。だいたいビッグバン(138億年前)から今日までの宇宙の物質進化のモデルが描けます。それは地球上で動物が海から初めて陸上へはい出た、約4億年前から現在までの時間の30倍以上です!
きょ大な電子カタログともいえる「Uchuu」のデータは、100テラバイト(音楽CD約1000万枚分)にもなります。このデータは、だれでも「skun6」というネット上のクラウドサービスで利用できます。このサービスは、アンダルシア天体物理学研究所(IAA-CSIC)やスペイン情報教育ネットワーク、およびガリシア・スーパーコンピューティングセンター(CESGA)の協力でつくられました。
画像:上の写真は「Uchuu」で描かれた暗黒物質/ダークマターが広がっているようすです。最も大きな銀河団にある暗黒物質のかたまり(ハロー)を、いろいろな大きさでみることができます。
出典: 石山智明、中山弘敬、国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト
国立天文台による日本語サイトあり
https://www.nao.ac.jp/news/science/2021/20210910-cfca.html
「Uchuu」という大規模シミュレーションをつくりだすために、研究チームはアテルイIIの全部で 40,200個のCPU(中央演算装置/コンピュータの頭脳)を毎月48時間フルに働かせました。その結果、スーパーコンピュータは2000万時間働き、3ペタバイト(3テラバイトの1000倍)ものデータをつくり出しました。これは1200万画素のけい帯電話でとった写真の 8億9478万4853枚分にもなります。