恒星からふき出るものには、いろいろな種類の電磁波もあります。電波とかX線や紫外線(しがいせん)、そして目に見える光などです。1859年のこと、太陽はとても強力なプラズマを放出したので、地球の大気は電磁波の嵐(あらし)をふせぐことができませんでした。そのため北アメリカやヨーロッパでは通信システムが使えなくなり、世界中で送電網(もう)に損傷が起こりました。この出来事は、これを観測した天文学者の一人、リチャード・キャリントンの名にちなんでキャリントン現象といわれています。
日本の天文学者たちは、太陽に似た恒星(こうせい)から巨大なガスの炎(ほのお)がふきだした証こを初めて観測しました。まるで大きなドラゴンのようです。その星の名は、りゅう座EK星。大きさは太陽と変わりませんが太陽よりも若い星です。その大きなふきだした炎、実は超高熱のガスですが、それを科学者たちは巨大フィラメントの噴出(ふんしゅつ)とよんでいます。フィラメントというのは電球の中にある光る部分のことで、ふきだした巨大な炎が、ちょうどフィラメントのアーチのように光るからです。
この観測から言えることは、私たちの太陽も若かったころには、きっと巨大なフィラメント(高温のプラズマ)をふきだし、地球などの周りの惑星をきびしい環境(かんきょう)にさらしただろうということです。吹き出されたプラズマとは、非常に高温になったガスの原子が、イオンと電子に分かれてしまっている状態のことです。
研究チームの観測によると、りゅう座EK星のスーパーフレア(プラズマの流れ)は本当に巨大で、今までに太陽で観測されたフレアの10倍もの大きさです。そして大きさだけでなく、そのはき出されるガスのスピードもものすごく、1秒間に約500kmと、私たちが聞く音の速さの1500倍にもなります。
りゅう座EK星は北天にあるりゅう座の恒星で、地球から111光年のところにあります。そしてもしもこの恒星が若い太陽と同じような恒星のすがたであるなら、今回のような巨大フレアは若い恒星にはよくあることなのでしょう。そうであるならば、このようなフレアはまわりの惑星の生命進化に重大な影響をあたえたかもしれません。ということは、そこに私たちの地球で生命がどのように進化してきたかを知るための重要な情報がかくされているかもしれません。科学はこれからもこの疑問への答えをていねいにさがしていきます。
画像説明:りゅう座EK星からの巨大なプラズマが若い惑星に近づいている想像図(国立天文台提供)
国立天文台による日本語サイトあり
恒星からふき出るものには、いろいろな種類の電磁波もあります。電波とかX線や紫外線(しがいせん)、そして目に見える光などです。1859年のこと、太陽はとても強力なプラズマを放出したので、地球の大気は電磁波の嵐(あらし)をふせぐことができませんでした。そのため北アメリカやヨーロッパでは通信システムが使えなくなり、世界中で送電網(もう)に損傷が起こりました。この出来事は、これを観測した天文学者の一人、リチャード・キャリントンの名にちなんでキャリントン現象といわれています。