最初の系外惑星が発見されてから30年近くたちました。現在、5000個以上の系外惑星が確認されていますが、そのうち1500個以上が、地球より少し大きめの「スーパーアース」です。
太陽系の外にある「系外惑星(けいがいわくせい)」の中で、特に太陽よりも軽い恒星である「赤色矮星(せきしょくわいせい)」の周りに、地球のように丁度よい量の海水があるものは、意外と多いかもしれないことが、最近の研究でわかりました。しかし、ちょうどよい量の海水がある系外惑星って、どういうことでしょうか?とりわけ、生命とどういう関係があるのでしょうか?
惑星が恒星(こうせい)の周りを丁度よいきょりで回ると、熱すぎず寒すぎない温度でいられ、表面に液体の水が存在できます。このきょりの領域は「ハビタブルゾーン」とよばれ、そこでは生命が育つ可能性があります。ただし生命が生きていくためには、温暖な気候も必要です。気候は海と深いつながりがあり、多すぎず少なすぎず丁度よい量の海水が、温暖な気候が持続するためのかぎをにぎっています。
しかし、ハビタブルゾーンにある惑星すべてに生命がいるわけではなく、水さえない惑星もあるのです。これまで天文学者は、ハビタブルゾーンにあっても、系外惑星に丁度良い量の海水が存在することは、めったにないと考えていました。
最近、東京大学の大学院生の木村真博(きむら ただひろ)さんと、国立天文台 (NAOJ)の生駒大洋(いこま まさひろ)教授が率いる研究チームが、新しい惑星形成モデルを開発し、シミュレーションを行ったところ、うれしい結果が出ました。
できたばかりの惑星では、熱くとけた表面と大気が反応して水ができます。そのように作られる水の量を計算すると、惑星にある合計の水の量が予想よりもずっとバラバラであることを、研究チームはつきとめました。中には、地球と同じくらいの海水量を持つ惑星もあります。赤色矮星のハビタブルゾーンには、理想的な気候を持続させるのに丁度良い量の水がある地球サイズの惑星が、これまで考えられていたより多いかもしれないことがわかりました。
ということは、現在動いているTESS(テス)衛星 や、将来打ち上がるPLATO(プラト)宇宙望遠鏡などでの系外惑星探しで、この10年以内に「地球に似た」惑星が見つかるかもしれないと期待できますね。
画像:惑星ができるとき、とけたマグマが大気と反応して水蒸気ができる様子の想像図。画像提供:木村真博
最初の系外惑星が発見されてから30年近くたちました。現在、5000個以上の系外惑星が確認されていますが、そのうち1500個以上が、地球より少し大きめの「スーパーアース」です。
この記事は日本の国立天文台からの報道発表によっています。